22日、日本代表が翌日に行われる『キリンチャレンジカップ2022』のアメリカ代表戦に向け、試合を行うドイツのドイツのデュッセルドルフ・アレーナで前日練習を実施。練習後、DF長友佑都(FC東京)が取材に応じた。
この日から3日間、元日本代表MF長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)がチームに合流することが発表された。指導者の勉強も兼ねて、ワールドカップに向けた“選手目線”でのアドバイスなどが期待されている。かつて2010年の南アフリカ大会、2014年のブラジル大会、2018年のロシア大会と3大会連続で共にワールドカップを戦った“キャプテン”の合流について、長友は「僕自身も1番会いたい人って言っても過言じゃないくらい会いたい人で。会った瞬間本当に嬉しくて、抱きつきました」と喜びを露わにした。
長友は長谷部の存在がチームに与える影響力を、「いるだけでチームに緊張感が出て、心身ともに整う感じがある。長谷部さんしか出せない雰囲気とオーラをひしひしと感じながら、幸せな時間を過ごしました」と語る。長谷部は前回大会終了後の代表引退を決意し、フランクフルトでの戦いに専念する決意を固めた。一方、長友は“長谷部超え”となる自身4度目のワールドカップに挑む。偉大な存在との比較に話が及ぶと、「近いなんか言えない。ちょっと次元が違う。バケモンです」と謙遜した。
これまでの3大会では“不動の左サイドバック”としてその地位を確固たるものとしていたが、今大会ではその立場は安泰ではない。DF中山雄太(ハダースフィールド/イングランド)、DF伊藤洋輝(シュトゥットガルト/ドイツ)などライバルも台頭しており、旗手怜央(セルティック/スコットランド)も左サイドバックで起用可能だ。メンバー入りが確定しているとは断言できない状況となっているが、長友自身は「メンバーに入るためにみんな必死だし、これだけレギュラー争いが激しいと一瞬たりとも気が抜けない」と話しており、チーム内の“メンバー争い”をポジティブに捉えているようだ。
「ピリピリした感じ、緊張感はすごく僕自身も感じています。充実していて、楽しんでいる。ただレギュラー争いがありつつも、チームとしてまとまって、1つの目的や方向に進まないといけない。メンタリティーの部分ではみんな海外でやっているし、ワールドカップを経験している選手もいるので問題ない。あとはディテールのところ。ピッチの中で起きることを想定して、アメリカ代表と戦うけど、ドイツ代表、コスタリカ代表、スペイン代表をイメージしながら戦わないといけないと感じている。これは選手の中でも話しているし、監督、スタッフとも連携を取ってコミュニケーションを取れているので素晴らしい時間になっているのは間違いない」
欧州遠征の1戦目となるアメリカ代表戦は23日に行われる。チーム内ではアメリカ代表のイメージについて、「前から激しく来る」と共有されており、本大会でのドイツ代表との戦いをイメージしているという。ドイツ代表についても「前からプレスをかけて相手陣地でサッカーをする」と映像分析の際に抱いたイメージを明かしつつ、アメリカ代表との一戦では「前からプレスをかけて相手陣地でサッカーをするところで、アメリカも結構前からガンガン来るので、そこはどういう風にプレスを剥がしていくか。もちろんドイツと違う部分はあるけど似ている部分もたくさんある。プレスが来たときにどうポジション取って、どう連動して出せるかというのは話せているし、いろいろ出せると思う」と、最終ラインの一角として共有している点にも触れた。
もっとも、今回の試合と本大会とではシチュエーションが異なるのも事実。経験豊富な長友自身もそこは強く実感しており、「時間帯、勝っている負けているのシチュエーションによって前から行くべきか、守ってショートカウンターを狙うというのは、チームの中で共通認識を持っていかないといけない」とコメント。「ディテールはもう少し詰めたい」と、残されたわずかな時間の中で擦り合わせられる部分を探っていく。
過去3大会を経験してきた長友は、この時期のメンタル面での重要性も知っている。「本当に大事なのはナーバスにならないこと」と話しながらも、「緊張感がある中でも話し合っている。今までの代表ではなかなか、ここまで意見を言い合える関係性はなかったんじゃないかと思う」と素直な感想を口にした。
アメリカ代表との試合で何を示せるか。注目の一戦は、23日の21:25(現地時間14:25)にキックオフ予定。試合はフジテレビ系列にて全国生中継(一部地域のぞく)され、民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」でも無料ライブ配信される。