いよいよ11月20日の開幕に迫ったFIFAワールドカップ・カタール大会(カタールW杯)。徐々に優勝国や得点王について予想する話題も増え、少しずつW杯モードになりつつある。
今大会も順当な勝ち上がりを予想する見方がやはり多いが、過去にも誰もが予想できなかった結果をもたらす事例があることは見逃せない。2014年ブラジルW杯時のコスタリカ(ベスト8)や、2018年ロシアW杯時のクロアチア(準優勝)など番狂わせは毎回起こっていることも事実である。
ここではカタールW杯で、もしかすると人々の予想を超える結果を残すかもしれない出場国を3カ国取り上げ、予想スターティングメンバー、予想フォーメーションと共に考察してみる。
デンマーク
予想スタメン
- GK:カスパー・シュマイケル
- DF:ヨアキム・アンデルセン
- DF:シモン・ケアー
- DF:アンドレアス・クリステンセン
- MF:ダニエル・バス
- MF:ピエール・エミール・ホイビュルク
- MF:トーマス・デラネイ
- MF:ヨアキム・メーレ
- MF:クリスティアン・エリクセン
- FW:アンドレアス・スコフ・オルセン
- FW:マルティン・ブライトバイテ
2018年のロシアW杯に続いて、カタールW杯も出場を決めたデンマーク代表。前回はクロアチアに惜しくもPK戦の末敗退しベスト16で大会を後にしたが、それ以降も着々とヨーロッパの強豪の一角を担う存在にまで成長を遂げた。
UEFAネーションズリーグでは、2018年にリーグBからリーグAへ昇格を決めてから維持しており、中でもEURO2020でのベスト4進出というのはフットボールファンの間でも記憶に新しい。チームの中心選手であるクリスティアン・エリクセンの試合中の心停止という予期せぬ出来事に動揺を隠しきれなかったが、そこからチームは一丸となり最終節で大勝したことでグループステージ突破。準決勝進出まで躍進を遂げた。
そしてカタールW杯では、奇跡の復活を遂げたエリクセンを見ることができる。唯一無二の司令塔を再び手に入れたデンマークにとって今大会は記憶に残したいものになるだろう。
予想フォーメーションは上図の通り。直近の試合では対戦相手に合わせて3バック・4バックを選択する傾向にあり、戦況を読ませないメリットをもたらしている。しかし、3バックがデンマークの最大の力を発揮できると考える。各リーグの最前線で活躍するディフェンダーたちを底に置きながら、トーマス・デラネイとピエール・エミール・ホイビュルクから構成される中盤を軸に試合をコントロールして、両サイドを高い位置に置くことで主導権を握ることが狙いと言えるだろう。そして、チャンスメイクを量産するエリクセンを中心に、ゴールを狙い勝利を手繰り寄せるというシステマチックなフォーメーションとなっている。
そんなデンマークはカタールW杯グループCに所属し、初戦はチュニジア、フランス、オーストラリアと対戦する。前回大会時と同じくフランス、オーストラリアが同居するという異例の事態ではあるものの、手堅い戦いをしたいところだ。
セネガル
予想スタメン
- GK:エドゥアール・メンディ
- DF:ユスフ・サバリ
- DF:パプ・アブ・シセ
- DF:カリドゥ・クリバリ
- DF:イスマイル・ヤコブス
- MF:パプ・ゲイェ
- MF:イドリッサ・ゲイェ
- MF:パテ・イスマエル・シス
- FW:イスマイラ・サール
- FW:ブライユ・ディア
- FW:サディオ・マネ
デンマークと同じく、2018年のロシアW杯に続いて2大会連続出場となったセネガル代表。前回大会では日本が同居するグループHで、惜しくも決勝トーナメント進出には至らなかった。しかし、初戦ではポーランド相手に競り勝つなど世界でも十分戦えるレベルにあることを証明した大会でもあった。
各ポジションごとに実力者をも保有していることがセネガルの最大の強みであり、2022年1月に開催されたアフリカネイションズカップでは見事優勝を果たした。またカタールW杯本大会行きを決めた試合は、エジプトとPK戦にまでもつれ込んだまさに死闘と言える戦いだった。苦しい中で勝ち取ったカタール行きを手にしたセネガルは、ここ一番の勝負強さを持ち備えていると言えるだろう。
予想フォーメーションは上図の通り。先程も述べたが、各ポジションに実力者を要するセネガルは対戦相手からすると厄介な存在になることは間違いない。特に昨今セネガルに対する評価は主に守備にあるとされている。圧倒的な守備力に定評があるカリドゥ・クリバリと守護神エドゥアール・メンディのチェルシーコンビは今大会ではどのように生きてくるのか注目したい。また攻撃陣の破壊力も前回大会からアップデートされており、バイエルン・ミュンヘンに移籍しても衰えを知らないサディオ・マネはもちろんのこと、2022/23シーズンにサレルニターナでゴールとアシストを量産するブライユ・ディアや、ワトフォードで攻撃の主軸となるイスマイラ・サールもスタメンであると予想する。
史上最強とも言えるセネガルはカタールW杯グループAに所属し、初戦はオランダ、カタール、エクアドルと対戦する。最大の難所である初戦のオランダ戦こそ乗り越えられれば、グループステージ突破の可能性がさらに高まることだろう。
セルビア
予想スタメン
- GK:バニャ・ミリンコビッチ=サビッチ
- DF:ニコラ・ミレンコビッチ
- DF:ストラヒニャ・パブロビッチ
- DF:ミロシュ・ベリコビッチ
- MF:アンドリヤ・ジブコビッチ
- MF:セルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチ
- MF:サシャ・ルキッチ
- MF:フィリップ・コスティッチ
- FW:ドゥシャン・タディッチ
- FW:ドゥシャン・ブラホビッチ
- FW:アレクサンダル・ミトロビッチ
セルビア代表の躍進に期待を寄せるファンはかなり多いのではないだろうか。私も密かにセルビアが今カタール大会の一番のダークホースになるのはないかと予想している。
W杯ヨーロッパ最終予選では事実上ポルトガルとの一騎打ちとなったが、最終節にアウェイの地で逆転勝利を収めて、本大会ストレートインを手にした。後半アディショナルタイムでの逆転ゴールのシーンは涙なしには語れない。ポルトガルをプレーオフに追いやったことからも、セルビアが十分強豪相手に通用することを証明している。
またUEFAネーションズリーグでも、ノルウェーやスウェーデンと同組と非常に難しい戦いが予想された中で見事1位で終え、次回からのリーグAへ昇格を決めた。まさに勢いに乗った状況で11月を迎えることになる。
予想フォーメーションは上図の通り。やはり特筆すべきは前線の3枚である。アレクサンダル・ミトロヴィッチとドゥシャン・ヴラホヴィッチというゴールハンターと、ドゥシャン・タディッチというテクニシャンを要する攻撃陣は、全出場国の中でも屈指の破壊力ではないだろうか。またオプションとしてルカ・ヨヴィッチがいることも忘れてはならない。また、セリアAの各クラブで主力として活躍する選手たちが合わさった連合軍であるという見方もあり、同じく地域でのプレーをした選手同士のコンディション調整は相対的に容易であるため、初戦から最大のパフォーマンスで臨めるメリットも存在している。
そんなセルビアはカタールW杯グループGに所属し、初戦はブラジル、カメルーン、スイスと対戦する。ロシアで苦杯を舐めたブラジル、スイスと、またしてもグループステージで相対することになった。前回大会のリベンジを果たしたい。