11月20日に開幕するFIFAワールドカップカタール2022で、グループEに組み込まれた日本代表は、ドイツ代表、スペイン代表、コスタリカ代表と対戦。日本の対戦国について知るために、各国の戦術、予想フォーメーション、予想スタメンを紹介する。

【ドイツ代表 カタールW杯2022メンバー】

GK

マヌエル・ノイアー(バイエルン)

マルク=アンドレ・テア・シュテーゲン(バルセロナ)

ケビン・トラップ(フランクフルト)

DF

マティアス・ギンター(フライブルク)

ティロ・ケーラー(ウェストハム)

ダビド・ラウム(RBライプツィヒ)

アントニオ・リュディガー(レアル・マドリード)

二コ・シュロッターベック(ドルトムント)

ニクラス・ジューレ(ドルトムント)

アルメル・べラ=コチャプ(サウサンプトン)

クリスティアン・ギュンター(フライブルク)

ルーカス・クロスターマン(RBライプツィヒ)

MF/FW

レオン・ゴレツカ(バイエルン)

イルカイ・ギュンドアン(マンチェスター・シティ)

ジョシュア・キミッヒ(バイエルン)

カイ・ハヴァーツ(チェルシー)

ヨナス・ホフマン(ボルシア・メンヒェングラートバッハ)

ジャマル・ムシアラ(バイエルン)

ユリアン・ブラント(ドルトムント)

セルジュ・ニャブリ(バイエルン)

トーマス・ミュラー(バイエルン)

レロイ・ザネ(バイエルン)

カリム・アデイェミ(ドルトムント)

ニクラス・フュルクルク(ブレーメン)

ユスファ・ムココ(ドルトムント)

マリオ・ゲッツェ(フランクフルト)

ゲーゲンプレスを生かしたショートカウンター

ボールを失った瞬間にプレッシャーをかけて、即時に奪い返す。いわゆる“ゲーゲンプレス”が特長で、そこから鋭いショートカウンターに持ち込む。EURO2020後に就任したハンス・ディーター=フリック監督は、バイエルン・ミュンヘンを率いて2019-20シーズンのチャンピオンズリーグで欧州制覇を成し遂げた。ヨアキム・レーブ前監督の時よりも攻守の切り替えが早くなり、前向きにゴールを目指していくスタイルが植え付けられている。

ベースとなるシステムは4-2-3-1。最大のテーマは1トップに誰を起用するか。最有力候補だったティモ・ヴェルナー(RBライプツィヒ)は快速を活かした高い位置からのハイプレスが持ち味で、“ゲーゲンプレス”のキーマンでもあった。ただ、ドイツはチーム全体に守備意識が植え付けられており、アタッカーにも例外はない。

1トップ候補となるのはトップ下が本職のカイ・ハヴァーツ(チェルシー)、18歳の“神童”ユスファ・ムココ(ドルトムント)、代表キャップ0ながらワールドカップのメンバーに選ばれたニクラス・フュルクルク(ブレーメン)。ハヴァーツが入った場合は、前線にとどまらずに広く動き回って、攻撃の起点となる“0トップ”になることが予想される。

大黒柱ミュラーの起用法は?

“ゲーゲンプレス”からの速攻と並んで、ドイツの武器と言えるのが相手をパス回しで揺さぶってからのサイドアタックだ。

右サイドは高速ドリブルを武器とするセルジュ・ニャブリ(バイエルン)と攻守にハードワークできるヨナス・ホフマン(ボルシア・メンヒェングラートバッハ)がポジションを競っている。フリック監督は特徴の異なる2人をゲームプランによって使い分けるだろう。

左サイドには天才的なチャンスメイカーのレロイ・サネ(バイエルン)と“ドイツのメッシ”とも呼ばれる19歳のジャマル・ムシアラ(バイエルン)がいる。サネはブンデスリーガの試合でハムストリングを負傷。数週間の離脱が予想されており、日本戦には間に合わない可能性もある。

大黒柱のトーマス・ミュラー(バイエルン)の起用法にも注目が集まる。ハヴァーツが1トップに起用されれば、ミュラーはトップ下になるが、ミュラーが1トップの可能性もある。ミュラーは神出鬼没で、どのポジションでも特定エリアに留まるタイプではない。遠藤航や伊藤洋輝、板倉滉はブンデスリーガで対戦経験があるが、ミュラーを見逃さないようにしておく必要がある。

アタッカー陣の起用で注目されるのは、大黒柱のFWトーマス・ミュラーをどう起用してくるか。ヴェルナーやハヴァーツを1トップに起用すれば、ミュラーはトップ下になるが、ミュラーが1トップで、2列目に19歳のジャマル・ムシアラがスタメン起用される可能性もある。ミュラーは神出鬼没で、どのポジションでも特定エリアに留まるタイプではない。遠藤航や伊藤洋輝、板倉滉はブンデスリーガで対戦経験があるが、ミュラーを見逃さないようにしておく必要がある。

リュディガーらタレント揃いの最終ライン

“ゲーゲンプレス”を中盤から支えるのがダブルボランチを組む、イルカイ・ギュンドアン(マンチェスター・シティ)やヨハン・キミッヒ(バイエルン)だ。彼らは高い位置のボール奪取からショートカウンターを支え、直接ボールを奪って攻撃の起点になることもある。

最終ラインはパワーとクレバーさを兼ね備えるアントニオ・リュディガー(レアル・マドリード)を中心に、対人応力の高いニクラス・ズーレ(ドルトムント)などが構える。彼らの背後を幅広くカバーするのはワールドクラスの守護神マヌエル・ノイアー(バイエルン)だ。素早い展開で攻め切るスタイルだけに、左サイドバックのダヴィド・ラウム(RBライプツィヒ)や右サイドバックのティロ・ケーラー(ウェストハム)には激しい上下動を可能にする運動量と攻守の要所を外さない判断力が求められる。


ドイツの強みは誰が出ても高い強度を維持できること。一人一人の特長はあるが、総合的な平均値が高く、良い意味であまり凸凹していない。90分あまり落ちないのは日本にとってもやりにくいが、交代カードによって極端に脅威が増すことも少ない。ただ、その中でも右サイドのスタメンがホフマンで、途中からニャブリが投入される場合は明らかにリズムが異なるので、特別に注意したい。

文・河治良幸

 

ドイツ代表予想フォーメーション(4-2-3-1)

FW
1トップ:ヴェルナー

MF
右サイドハーフ:ニャブリ
トップ下:ミュラー
左サイドハーフ:ハヴァーツ
右ボランチ:キミッヒ
左ボランチ:ギュンドアン

DF
右サイドバック:ケーラー
右センターバック:ズーレ
左センターバック:リュディガー
左サイドバック:ラウム

GK
ノイアー


写真:AP/アフロ