日本サッカー協会は11月1日、FIFAワールドカップカタール(カタールW杯)に向けた日本代表メンバー26名を発表した。森保一代表監督が昨2021年に行われた東京五輪の代表も兼任していたこともあってか、五輪で活躍した選手たちも多数選出されている。

一方で、FW大迫勇也(ヴィッセル神戸)、MF原口元気(ウニオン・ベルリン)らAFCアジアカップ2019や今カタールW杯アジア最終予選でも代表に貢献し続けたベテラン選手が落選するなど、波乱含みのメンバー発表となっていた。 しかし同じベテランでも、GK川島永嗣(RCストラスブール)、MF柴崎岳(CDレガネス)といった選手たちは従来通り選出され続けており、その選考基準や起用方法については様々な議論を呼んでいる。

W杯と言う4年に1度の大舞台。 確かにベテラン選手たちの経験や姿勢が役立つ場面も多いことだろう。だが、決して代表の中での序列が高いわけではないベテラン選手よりも、貴重な大舞台の経験を次世代の選手たちに積んでほしいと願うサッカーファンの気持ちもまた、十分理解できるものではないだろうか。

ここでは、ベテラン選手に代わりカタールW杯メンバーに呼ばれるべきだった選手たちを3名紹介していく。


【日本代表】ベテランの代わりにW杯招集されるべきだった選手3選
湘南ベルマーレ GK谷晃生 写真:Getty Images

谷晃生(湘南ベルマーレ)

東京五輪の正ゴールキーパーとして、一躍フル代表でも常連となっていたGK谷晃生(湘南ベルマーレ)。 しかし序列の高いGK権田修一(清水エスパルス)とGKシュミット・ダニエル(シント=トロイデン)が順当に選ばれ、かつ経験豊富なベテランのGK川島永嗣が選出されたことにより、初のW杯メンバー入りとはならなかった。

ゴールキーパーは、選出されたとしても途中交代などで出場機会を得る可能性の低いポジションだ。特に3番手ともなればトラブルなどの緊急時を除き、出場する機会はほぼないと見るのが通例だ。だからこそベテランとして裏方でチームを支える川島の選出は理解できる。だが、サッカー界における最大の舞台の圧倒的な雰囲気や熱量を、将来的に日本のゴールを守る選手に味わってほしいという希望もまた、あってしかるべきものではないだろうか。

今回は残念ながらW杯という舞台を肌で感じることのできない谷。しかし、今冬はレンタル元であるガンバ大阪への復帰や海外挑戦の噂も出ているだけに、さらなる成長で4年後の出番を迎えてほしい。

【日本代表】ベテランの代わりにW杯招集されるべきだった選手3選
セルティック MF旗手怜央 写真:Getty Images

旗手怜央(セルティック)

スコットランドのセルティックでリーグ戦、チャンピオンズリーグ(CL)出場と躍動するMF旗手怜央も、カタール行きは叶わなかった。

2021年末にセルティックへ移籍して以降、今季序盤には負傷の報道もあり状態が心配されたが、ここまで順調な活躍を見せている。特にフィジカルコンタクトの場面での強度や落ち着きといった部分は目を見張るものがあり、当たり負けせずボール奪取やボール保持する能力の高さが窺える。加えて、ボールタッチひとつとっても相手をいなすプレーが随所に見られ、持ち前のパス精度も相まって周囲が良く見えている調子の良さも見て取れていた。それだけに、W杯代表メンバーから落選したことは残念でならない。

旗手は、今回招集されたメンバー26名のうち5名とは川崎フロンターレ時代(2019-2021)に一緒にプレーしており、勝手の分かる選手も多く連携面の不安は少ない。一方でこれまでの代表経験という面では、W杯アジア3次予選のベトナム戦(2022年3月29日)のみと機会に恵まれなかった。ゆえに森保監督の中でも、旗手の起用方法についてイメージしづらい部分もあったことが考えられる。

しかし、CLに出場するレベルのクラブに所属し好調を維持する選手であり、経験というのであれば今後も考えW杯は絶好の場と言える。今後の日本代表を背負える選手の1人として、カタールでの活躍を見てみたかったものだ。


【日本代表】ベテランの代わりにW杯招集されるべきだった選手3選
グラスホッパー DF瀬古歩夢 写真:Getty Images

瀬古歩夢(グラスホッパー・クラブ・チューリッヒ)

セレッソ大阪の下部組織出身で、昨2021年は19歳という若さでセンターバックという重要ポジションを務めたDF瀬古歩夢。クラブの生え抜き選手であったことに加え、同年コンビを組んだDF西尾隆矢も20歳と若く、同じクラブで切磋琢磨することでどこまで強固な守備陣が形成されるか期待を集めていた。

それだけに、今2022年1月にグラスホッパー・クラブ・チューリッヒ(スイス)へ移籍したことについては、クラブ関係者やサポーターの複雑な胸の内が感じ取れる。しかし、C大阪からの移籍は残念と思うファンも多い一方、瀬古に寄せた期待は移籍後もまったく裏切られる様子は見られない。グラスホッパーへ加入して1年も経たないが、持ち前の正確なフィード力や縦パスを武器に出場機会を掴んでいる。

代表においても、9月に行われたアメリカ戦(9月23日)とエクアドル戦(9月27日)に臨むメンバーとして招集されている瀬古。同9月シリーズの招集は、それまで招集されていたDF板倉滉(ボルシアMG)が負傷により見送られたことも要因になっているだろう。しかし、W杯直前のテスト機会に呼ばれたことで、本大会へのサプライズ選出を期待したファンも多いのではないだろうか。

DF吉田麻也(シャルケ)、DF長友佑都(FC東京)など頼れるベテラン選手が多い分、世代交代が難しい日本のDFライン。特にグループリーグで強国(ドイツ、スペイン)との対戦が組まれた今カタールW杯。次世代を担う瀬古にこそ、その1失点すら許されない緊張感をベンチからでも肌で感じてほしかったが残念だ。