優勝候補の一角とはいえないか
スペイン代表が最も輝いていたのはEURO2008、ワールドカップ・南アフリカ大会、EURO2012を制したこの4年間で、選手もダビド・シルバやシャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタとスターが揃っていた。
しかし時間が経つにつれて思うような成果を挙げることができなくなり、前回のW杯・ロシア大会ではベスト16で姿を消している。その後バルセロナでの監督経験を持つルイス・エンリケを代表監督としEURO2020ではベスト4と輝かしい成績を残した。
エンリケはポゼッションスタイルのスペイン代表に守備の意識を植え付けた。今では欠かせない各チームが持つ武器であり、EURO2020では積極的にプレッシングを仕掛けるスペイン代表の姿が印象的だ。
中盤には魅力的なタレントが揃う。バルセロナのセルヒオ・ブスケッツ、ガビ、ペドリの3人であり、ペドリからは良質なパスが供給されるだろう。
だが気になるのは前線の質だ。今回の招集でFWは8人呼ばれている。フェラン・トーレス、ニコ・ウィリアムズ、ジェレミー・ピノ、アルバロ・モラタ、マルコ・アセンシオ、パブロ・サラビア、ダニ・オルモ、アンス・ファティのことだ。
ウィリアムズやピノ、ファティと期待の若手が多い印象であり、これといった大黒柱になれる選手がいない。またビッグクラブでプレイするトーレスやアセンシオ、ファティのプレイタイムの少なさが気になる。誰も各クラブでは1番手ではなく、アセンシオはレアル・マドリードで今季リーグ戦179分しかプレイしていない。
英『The Athletic』でもスペイン代表の弱点として「どこからゴールを奪うのか」と攻撃時の迫力不足を挙げている。直近のUEFAネーションズリーグでは6試合消化して首位で終えることができたが、最もゴールを奪っていたのは11ゴールのポルトガル代表だった。
前線は小粒化が進んでしまっているスペイン代表。EURO2020は結果こそベスト4という輝かしい成績を残したが、全6試合で複数得点を記録したのは2試合しかなかった。その問題は明確には解決しておらず、本大会でのアタッカーの成長が必要となりそうだ。