UAEドーハで現地時間11月16日、カナダ代表のジョン・ハードマン監督が翌日の日本代表との強化試合に向けた前日会見に出席した。当初は試合会場となるアル=マクトゥーム・スタジアムに姿を表わす予定だったものの、交通渋滞などのトラブルで急遽オンラインに変更。会見場に置かれたiPadを通じて、最後の最後に話を聞くことができた。
 
 現在47歳でイングランド出身のハードマン監督は、ニュージランドやカナダの女子代表で実績を残し、2018年1月からカナダの男子代表を率いる“変わり種”。カナダ代表を36年ぶりにW杯出場に導き、女子と男子の両方のW杯で指揮する史上初の監督だ。
 
 勤勉家としても知られ、日本代表の森保一監督も同日の会見で「日本のこともすごく勉強していて、トレセン制度からも学んでいる。前にお会いした時には、日本の育成システムについて聞かれました。素晴らしい監督であり、対戦が楽しみです」と絶賛していた。
 
 そんな“日本通”でもあるハードマン監督に、森保ジャパンに対する印象を聞くと、こうコメントしてくれた。
 
「素晴らしいチームです。経験があります。何度も何度もW杯のグループステージを突破する方法を理解しているチームは、集団的メンタリティー、戦術的な統率力を持っています。集団組織という点では、世界のトップ10に入るチームです」
 
 そして、「だから、カナダにとっては本当に難しい試合になると思います。しかし、我々はベルギーとのW杯開幕戦に向けて難しい試合を望んでいますし、日本にとってもこのW杯でグループステージを突破するための良いテストマッチになると思っています」と続けた。
 
 さらに、明日の試合に向けて「日本で警戒している選手はいますか?」と質問すると、こうコメントした。
 
「1人の選手ではない。それこそが私が日本の選手と戦術的アイデンティーを好んでいる理由です。決して1人の選手に頼らない。11人の選手が同調して動くんです。彼らの動きとタイミングの良さは、私たちが分析した中では世界でもトップクラスです。だから、A選手もB選手もC選手も止める必要がある」
 
 ハードマン監督は「日本と戦う場合は、彼らの集団的なアイデンティティーに根ざした動きに対応しなければいけない」と、最後まで森保ジャパンのコレクティブさを強調かつ警戒していた。
 
 敵将がこれだけ深く分析してくれているのだ。W杯前最後のテストマッチとなる11月17日のカナダ戦は、森保ジャパンにとって良い腕試しの機会になるのは間違いない。
 
取材・文●白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)