日本代表はカタール・ワールドカップ開幕前、最後となる対外試合を終えた。あとは23日のドイツ代表戦を待つばかりだ。準備試合のカナダ代表戦で何が見え、大会初戦までにあとは何をするべきか、ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生が語り尽くした。

■本来やりたかったこと

――本来、カナダ戦でやりたかったことは何だったのでしょうか。

大住「ヨーロッパ組は前の週末に試合をして、中3日くらいで行う試合だったから、ベストのメンバーを組めないのはしょうがない。でも、ドイツ戦を想定した、できるだけ本番に近いメンバーでやらなければいけなかったと思うんだよね。大会に向けての準備と考えると、ドイツ戦にぶつけるメンバーで試合ができなかったのは痛かったと思う」

――そうしたメンバーを多めに先発させて早めに交代させるという、今回とは逆のカードの切り方をしたかったところですね。

後藤「全員が元気だったら、そうだよ。でも、今の状態では無理をさせてはいけない選手がいるし、他のメンバーもケガ明けみたいな選手がたくさんいるから、じゃあ切り替えてリハビリのために使いましょうという試合になっちゃった。それ以上でも、以下でもない。あれだけ普段と違うメンバーで、調子が良いのか分からない選手でもあれだけできるのだから、今の日本サッカーの底力はすごいなということだよ。29年前、左サイドバックが1人いなくなっただけで大騒ぎになっていた時代を考えると夢のようだよ」

■目を引いた相馬

大住「そうだけど、今話さないといけないのは、ワールドカップに向けた準備としてどうかということ。現状では、とてもじゃないけどグループステージでドイツとスペインに勝つというイメージが湧かないな」

後藤「幸いなのは、ドイツも全然ダメでオマーンを相手に苦労したということだね。ドイツがそういう状態で日本が100%だったら、勝つ可能性が出てくるかなと思うけど」

――相対的に柴崎岳が良く見えたということですが、他に気になった選手はいますか。

大住「相馬勇紀だね。結果として、ポジティブだったんじゃない」

後藤「この試合で唯一、コンディションが良さそうな選手だった」

大住「今回のメンバーの中では代表経験が少ない方だけど、右で先発して左にもまわっても堂々とプレーしていた。左右のウィングには伊東純也、久保、堂安律、三笘薫とそろっていて、南野拓実も前田大然もプレーできる。その中では出場時間は短いかくなるかもしれないけど、有効な武器になるんじゃないかなという気がした。相馬を選んで良かったと思うよ」

後藤「相馬が一番コンディションは良さそうだったよね。そうなると、やっぱり目立つよね」

■ボランチでも合格の鎌田

――相馬はフル出場しました。今回の出場時間から逆算して、初戦のメンバーは見えてきますか。

後藤「逆算というより、この試合に出なかった選手が回復するかどうか、という問題でしょう。どこの国も苦労しているよ。フランスも練習中にケガ人が出たりしているし」

――鎌田大地がボランチとして起用されました。

大住「あれはテストだったと思うよ。ボランチでもできるな、という感じをつかめたんじゃないかな。動きがシャープだったよね」

後藤「鎌田はすごかったよ。自分でボールを奪って展開して、最後はシュートにまでもっていくんだから」

大住「以前と比べて、中盤から前に出ていくスピードが上がったよね。点を取ってやろうという意欲が見える。今回のワールドカップで、一番期待できる選手なんじゃないかな」