11月20日に開幕を迎えたFIFAワールドカップカタール2022(カタールW杯)。日本時間23日22時にはいよいよ、日本代表がドイツとの初戦を迎える。その後は27日にコスタリカ戦、12月2日にスペイン戦に挑み、グループリーグ突破と過去最高のベスト8以上を目指す。

優勝候補の一角であるドイツ、スペインと同組(グループE)になった日本には、厳しい見方も多い。一方で、日本は初のW杯本大会出場となった1998年のフランスW杯以降、急速に成長を遂げてきたことも事実だ。

ここでは歴代のW杯日本代表メンバーの所属クラブを比較してみたい。特筆すべきは海外クラブ所属選手(海外組)の増加である。海外組が優れているとは一概に言えないものの、評価されないと所属できないため客観的な1つの指標となるだろう。


日本代表は強くなっている!歴代W杯メンバーの所属クラブ比でみる成長
日本代表 DF冨安健洋 写真:Getty Images

2022年カタールW杯日本代表メンバー

GK

  • 川島永嗣(ストラスブール/フランス・39)
  • 権田修一(清水エスパルス・33)
  • シュミット・ダニエル(シント=トロイデン/ベルギー・30)

DF

  • 長友佑都(FC東京・36)
  • 吉田麻也(シャルケ04/ドイツ・34)
  • 酒井宏樹(浦和レッズ・32)
  • 谷口彰悟(川崎フロンターレ・31)
  • 山根視来(川崎フロンターレ・28)
  • 板倉滉(ボルシアMG/ドイツ・25)
  • 冨安健洋(アーセナル/イングランド・23)
  • 伊藤洋輝(シュツットガルト/ドイツ・23)

MF/FW

  • 柴崎岳(レガネス/スペイン・30)
  • 遠藤航(シュツットガルト/ドイツ・29)
  • 伊東純也(スタッド・ランス/フランス・29)
  • 浅野拓磨(ボーフム/ドイツ・27)
  • 南野拓実(モナコ/フランス・27)
  • 守田英正(スポルティングCP/ポルトガル・27)
  • 鎌田大地(フランクフルト/ドイツ・26)
  • 相馬勇紀(名古屋グランパス・25)
  • 三笘薫(ブライトン/イングランド・25)
  • 前田大然(セルティック/スコットランド・25)
  • 堂安律(フライブルク/ドイツ・24)
  • 上田綺世(サークル・ブルッヘ/ベルギー・24)
  • 田中碧(デュッセルドルフ/ドイツ・24)
  • 久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン・21)
  • 町野修斗(湘南ベルマーレ・18)

今カタール大会から、各チーム登録メンバー数が「23」から「26」へと拡大された。その26人の日本代表メンバーのうち、海外組が19人で国内組は7人。登録メンバー数が増えたにもかかわらず、国内組が7という数字は歴代最少だ。Jリーグのレベルも着実に上昇しているが、欧州のクラブから評価される選手が増えていることは事実である。

ではここから初出場となった1998年フランスW杯から順に見ていく。日本代表の個の評価が相対的に高くなってきたことがわかるだろう。

日本代表は強くなっている!歴代W杯メンバーの所属クラブ比でみる成長
元日本代表 MF中田英寿 写真:Getty Images

1998年フランスW杯日本代表メンバー

GK

  • 小島伸幸(ベルマーレ平塚・32)
  • 川口能活(横浜マリノス・22)
  • 楢崎正剛(横浜フリューゲルス・22)

DF

  • 名良橋晃(鹿島アントラーズ・26)
  • 相馬直樹(鹿島アントラーズ・26)
  • 井原正巳(横浜マリノス・30)
  • 小村徳男(横浜マリノス・28)
  • 斎藤俊秀(清水エスパルス・25)
  • 秋田豊(鹿島アントラーズ・27)
  • 中西永輔(ジェフユナイテッド市原・24)

MF

  • 山口素弘(横浜フリューゲルス・29)
  • 伊東輝悦(清水エスパルス・23)
  • 中田英寿(ベルマーレ平塚・21)
  • 名波浩(ジュビロ磐田・25)
  • 小野伸二(浦和レッズ・18)
  • 服部年宏(ジュビロ磐田・24)
  • 森島寛晃(セレッソ大阪・26)
  • 平野孝(名古屋グランパスエイト・23)

FW

  • 中山雅史(ジュビロ磐田・30)
  • 呂比須ワグナー(ベルマーレ平塚・29)
  • 岡野雅行(浦和レッズ・25)
  • 城彰二(横浜マリノス・22)

1993年の「ドーハの悲劇」によってアメリカW杯出場は逃したものの、4年後の1997年「ジョホールバルの歓喜」によって、初のW杯出場を手にした日本代表。この大会は記念すべきものとなったが、グループリーグ0勝3敗で敗退。この時は、メンバー全員がJリーグでプレーしていた。


日本代表は強くなっている!歴代W杯メンバーの所属クラブ比でみる成長
元日本代表 MF小野伸二 写真:Getty Images

2002年日韓W杯日本代表メンバー

GK

  • 川口能活(ポーツマス/イングランド・26)
  • 楢崎正剛(名古屋グランパスエイト・26)
  • 曽ヶ端準(鹿島アントラーズ・22)

DF

  • 秋田豊(鹿島アントラーズ・31)
  • 服部年宏(ジュビロ磐田・28)
  • 森岡隆三(清水エスパルス・26)
  • 宮本恒靖(ガンバ大阪・25)
  • 松田直樹(横浜F・マリノス・25)
  • 中田浩二(鹿島アントラーズ・22)

MF

  • 森島寛晃(セレッソ大阪・30)
  • 中田英寿(パルマ/イタリア・25)
  • 福西崇史(ジュビロ磐田・25)
  • 三都主アレサンドロ(清水エスパルス・24)
  • 戸田和幸(清水エスパルス・24)
  • 明神智和(柏レイソル・24)
  • 小笠原満男(鹿島アントラーズ・23)
  • 稲本潤一(アーセナル/イングランド・22)
  • 小野伸二(フェイエノールト/オランダ・22)
  • 市川大祐(清水エスパルス・22)

FW

  • 中山雅史(ジュビロ磐田・34)
  • 鈴木隆行(鹿島アントラーズ・25)
  • 西沢明訓(セレッソ大阪・25)
  • 柳沢敦(鹿島アントラーズ・25)

日本にとって2度目のW杯でありながら、自国開催となった日韓W杯。初戦でベルギーに引き分けてW杯初の勝ち点を手にし、その勢いでロシア、チュニジアを撃破。それまでの開催国同様に、グループリーグ突破を達成した。海外組は4人で、国内組が19人という構成だった。


日本代表は強くなっている!歴代W杯メンバーの所属クラブ比でみる成長
元日本代表 FW柳沢敦 写真:Getty Images

2006年ドイツW杯日本代表メンバー

GK

  • 川口能活(ジュビロ磐田・30)
  • 楢崎正剛(名古屋グランパスエイト・30)
  • 土肥洋一(FC東京・32)

DF

  • 茂庭照幸(FC東京・24)
  • 宮本恒靖(ガンバ大阪・29)
  • 三都主アレサンドロ(浦和レッズ・28)
  • 中沢佑二(横浜F・マリノス・28)
  • 坪井慶介(浦和レッズ・26)
  • 加地亮(ガンバ大阪・26)
  • 中田浩二(バーゼル/スイス・26)
  • 駒野友一(サンフレッチェ広島・24)

MF

  • 福西崇史(ジュビロ磐田・29)
  • 中田英寿(ボルトン/イングランド・29)
  • 中村俊輔(セルティック/スコットランド・27)
  • 小笠原満男(鹿島アントラーズ・27)
  • 稲本潤一(ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン/イングランド・26)
  • 小野伸二(浦和レッズ・26)
  • 遠藤保仁(ガンバ大阪・26)

FW

  • 柳沢敦(鹿島アントラーズ・28)
  • 高原直泰(ハンブルガーSV/ドイツ・26)
  • 大黒将志(グルノーブル/フランス・26)
  • 玉田圭司(名古屋グランパス・26)
  • 巻誠一郎(ジェフユナイテッド千葉・25)

3回目の出場となったドイツW杯。初戦のオーストラリア戦で先制したものの逆転負けを喫し、クロアチアとは0-0の引き分け。決勝トーナメント進出のためには、3戦目のブラジル相手に2点差以上での勝利が必要に。先制することには成功したが、その後は本気のブラジルに重ねての失点を許し、グループリーグで敗退となった。海外組が6人、国内組は17人だった。

日本代表は強くなっている!歴代W杯メンバーの所属クラブ比でみる成長
元日本代表 MF稲本潤一 写真:Getty Images

2010年南アフリカW杯日本代表メンバー

GK

  • 楢崎正剛(名古屋グランパス・34)
  • 川島永嗣(川崎フロンターレ・27)
  • 川口能活(ジュビロ磐田・34)

DF

  • 中澤佑二(横浜F・マリノス・32)
  • 田中マルクス闘莉王(名古屋グランパス・29)
  • 今野泰幸(FC東京・27)
  • 岩政大樹(鹿島アントラーズ・28)
  • 駒野友一(ジュビロ磐田・28)
  • 長友佑都(FC東京・23)
  • 内田篤人(鹿島アントラーズ・22)

MF

  • 中村俊輔(横浜F・マリノス・31)
  • 遠藤保仁(ガンバ大阪・30)
  • 中村憲剛(川崎フロンターレ・29)
  • 稲本潤一(川崎フロンターレ・30)
  • 阿部勇樹(浦和レッズ・28)
  • 長谷部誠(ウォルフスブルク/ドイツ・26)
  • 本田圭佑(CSKAモスクワ/ロシア・23)
  • 松井大輔(グルノーブル/フランス・28)

FW

  • 岡崎慎司(清水エスパルス・24)
  • 玉田圭司(名古屋グランパス・30)
  • 大久保嘉人(ヴィッセル神戸・27)
  • 森本貴幸(カターニア/イタリア・22)
  • 矢野貴章(アルビレックス新潟・26)

2010年南アフリカW杯。大会前の不調により期待感はやや薄かったが、1トップに本田圭佑を配置した守備的な布陣がハマった。カメルーンとデンマークに勝利し、2勝1敗で決勝トーナメント進出。なお海外組は4人で、国内組が19人。ここまで増加していた海外組が、初めて減少した大会だった。


日本代表は強くなっている!歴代W杯メンバーの所属クラブ比でみる成長
元日本代表 MF本田圭佑 写真:Getty Images

2014年ブラジルW杯日本代表メンバー

GK

  • 川島永嗣(スタンダール・リエージュ/ベルギー・31)
  • 西川周作(浦和レッズ・27)
  • 権田修一(FC東京・25)

DF

  • 今野泰幸(ガンバ大阪・31)
  • 伊野波雅彦(ジュビロ磐田・28)
  • 長友佑都(インテル/イタリア・27)
  • 森重真人(FC東京・26)
  • 内田篤人(シャルケ04/ドイツ・26)
  • 吉田麻也(サウサンプトン/イングランド・25)
  • 酒井宏樹(ハノーファー96/ドイツ・24)
  • 酒井高徳(シュツットガルト/ドイツ・23)

MF

  • 遠藤保仁(ガンバ大阪・34)
  • 長谷部誠(ニュルンベルク/ドイツ・30)
  • 青山敏弘(サンフレッチェ広島・28)
  • 山口蛍(セレッソ大阪・23)

FW

  • 大久保嘉人(川崎フロンターレ・31)
  • 岡崎慎司(マインツ05/ドイツ・28)
  • 本田圭佑(ミラン/イタリア・27)
  • 香川真司(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド・25)
  • 清武弘嗣(ニュルンベルク/ドイツ・24)
  • 柿谷曜一朗(セレッソ大阪・24)
  • 斎藤学(横浜F・マリノス・24)
  • 大迫勇也(1860ミュンヘン/ドイツ・23)

2014年ブラジルW杯。欧州の名門クラブに所属する選手が増加し、2011年のAFCアジアカップで優勝に導いたアルベルト・ザッケローニ監督(2010-2014)が率いるチームは躍進が期待されていた。しかしコートジボワールとコロンビアに敗れ、1分2敗でグループリーグ敗退。なお海外組が12人、国内組は11人と、初めて海外組が上回った。


日本代表は強くなっている!歴代W杯メンバーの所属クラブ比でみる成長
元日本代表 FW岡崎慎司 写真:Getty Images

2018年ロシアW杯日本代表メンバー

GK

  • 川島永嗣(メス/フランス・35)
  • 東口順昭(ガンバ大阪・32)
  • 中村航輔(柏レイソル・23)

DF

  • 長友佑都(ガラタサライ/トルコ・31)
  • 槙野智章(浦和レッズ・31)
  • 吉田麻也(サウサンプトン/イングランド・29)
  • 酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ/フランス・28)
  • 酒井高徳(ハンブルガーSV/ドイツ・27)
  • 昌子源(鹿島アントラーズ・25)
  • 遠藤航(浦和レッズ・25)
  • 植田直通(鹿島アントラーズ・23)

MF

  • 長谷部誠(フランクフルト/ドイツ・34)
  • 本田圭佑(パチューカ/メキシコ・31)
  • 乾貴士(エイバル/スペイン・29)
  • 香川真司(ボルシア・ドルトムント/ドイツ・29)
  • 山口蛍(セレッソ大阪・27)
  • 原口元気(デュッセルドルフ/ドイツ・27)
  • 宇佐美貴史(デュッセルドルフ/ドイツ・26)
  • 柴崎岳(ヘタフェ/スペイン・26)
  • 大島僚太(川崎フロンターレ・25)

FW

  • 岡崎慎司(レスター・シティ/イングランド・32)
  • 大迫勇也(ブレーメン/ドイツ・28)
  • 武藤嘉紀(マインツ05/ドイツ・25)

ハビエル・アギーレ監督(2014-2015)からヴァヒド・ハリルホジッチ監督(2015-2018)、さらに開幕2カ月前に西野朗監督(2018)へと、2度の監督交代という激震を経て挑んだロシアW杯。それでも初戦でコロンビアに勝利、2戦目ではセネガルと引き分け、3戦目ではポーランドに敗れたものの、1勝1分1敗でグループリーグを突破した。決勝トーナメントではベルギーを相手に2点を先制するも、そこから3失点で惜しくも大会を去ることに。なお海外組が15人、国内組は8人だった。


海外組が増加を続けている日本代表選手たち。日常的に各国の代表選手と対戦している選手が多く「未知への挑戦」ではなく「知る相手との対戦」となっている。

ドイツであろうとスペインであろうと、相手の実力を把握したうえで挑めることは強みとなるだろう。また、これまでほとんどいなかったセンターバック(CB)の選手に海外組が増え、守備の強度が上がっている。強国ドイツやスペインと同組とはいえ、初のベスト8以上という成績を残す可能性は十分にあるはずだ。