素早い攻守の切り替えとインテンシティの高さ
MATCH 02 グループA 第1節
2022年11月21日 19:00キックオフ(会場:アル・サマーマ)
セネガル 0-2 オランダ
グループA第1節の2試合目で、今年1月に悲願のアフリカ王者となったセネガル代表と、予選敗退に追い込まれた4年前の悲劇からの完全復活を目指すオレンジ軍団のオランダ代表が激突した。
セネガルはチームの絶対的エースであったFWサディオ・マネが負傷により、今大会の出場を直前で断念。一方、オランダも10番を背負うFWメンフィス・デパイがコンディション不良のためベンチスタートとなり、攻撃の核を失った状態で初戦のキックオフを迎えた。両チームともにDFラインには“欧州屈指の壁”が君臨するだけに、いかにしてこれを攻略するかが勝敗の鍵となりそうだ。
オランダボールでキックオフされた試合は、攻撃の核がいない上に初戦ということもあり、堅い入りになるかと思われたが、そうではなかった。両チームともに立ち上がりから積極的にプレッシャーをかけ、初戦への強い思いが感じられる。
右サイドを起点に攻撃を組み立てていくオランダ。一方、ロングボールで手数をかけずに縦に素早い攻撃を仕掛けるセネガル。セネガルは特にハイサイドへのロングボールが目立つ。これはサイドを押し込むことで、オランダのストロングポイントであるWGを後ろへ下げさせ、カウンターのリスクを少しでも回避する狙いがあるのかもしれない。
そんな中、最初の決定機を迎えたのはオランダだ。19分、オランダはCKの守備から一気にカウンターを仕掛ける。右サイドの高い位置でベルフワインがボールを収めると、それを追い越すように中央へ走り込んだブリントへパス。そして、ブリントは滑り込みながらボールを左へ流し、なんとかゴール前のデ・ヨングへつなぐ。デ・ヨングはキックフェイントでうまくDFを1人かわしたが、セネガル守備陣が必死に戻り、シュートに持ち込むことはできず。あと一歩のところでゴールとはならなかった。
その後は、20分を過ぎたころから展開はやや落ち着きだし、中盤で一進一退の攻防が繰り広げられる。両チームともになかなかシュートまでは持ち込めない時間が続く。ただ、素早い攻守の切り替えやインテンシティの高さ、ゴール前での身体を張ったプレイなど、ハイレベルなパフォーマンスが連続しており、「これぞW杯!」というような拮抗した試合となっている。
終盤までどちらに転ぶかわからない展開
スコアレスのまま試合を折り返したが、後半に入っても均衡状態は続く。なんとかシュートまで持ち込むシーンはいくつかあるが、なかなか枠に飛ばすことができない。すると、62分にオランダが先に仕掛けた。ヤンセンに代わってデパイを投入。予選でゴールを量産してきたエースに未来を託す。それに対してセネガルは、73分にI・ゲイェが決定機を迎えるなど、やや試合のペースは握っているものの、交代カードのうち2枚を負傷交代(ディアロとクヤテ)に使うなど苦しい状況だ。
すると、オランダがついに均衡を破る。84分、オランダは左サイドで組み立てると、デ・ヨングがGKとDFラインの間を目掛けて絶妙なクロス。走り込んだガクポが飛び出してきたGKの前でボールを触り、ゴールネットを揺らした。その後、セネガルが同点ゴールを狙いにリスクを冒して攻め込むが、この日が代表デビュー戦となったGKノペルトの好セーブなどもあり、ゴールを破らせない。それどころか、アディショナルタイムに攻勢に出ていたセネガルの隙をついてクラーセンがカウンターからダメ押しゴールを決め、勝負あり。
最後の最後までどちらに転ぶかわからないほど拮抗した試合を2-0で制したオランダが、見事白星発進を決めた。勝敗はついたものの、この試合でともに素晴らしい堅守を披露しており、今大会屈指の守備陣と言っていいかもしれない。怪我人の状況が気になるものの、まだまだセネガルにもチャンスはある。残りの試合でも是非ともインテンシティの高い試合を披露してもらいたいものだ。
[スコア]
セネガル 0-2オランダ
[得点者]
オランダ
84分 ガクポ
90+9分 クラーセン
[ポゼッション]
セネガル39% オランダ41%
[シュート数]
セネガル15本 オランダ 10本
[枠内シュート]
セネガル4本 オランダ 3本
[イエローカード]
セネガル 2枚
90分+4ナンパリス・メンディ
90分+6イドリッサ・ガナ・ゲイェ
オランダ 1枚
56分マタイス・デ・リフト
[ラインナップ]
セネガル
フォーメーション:[4-3-3]
監督:アリウ・シセ
GK
エドゥアール・メンディ(チェルシー/イングランド)
DF
カリドゥ・クリバリ(チェルシー/イングランド)
パプ・アブ・シセ(オリンピアコス/ギリシャ)
ユスフ・サバリ(ベティス/スペイン)
アブドゥ・ディアロ(ライプツィヒ/ドイツ)
MF
イドリッサ・ガナ・ゲイェ(エヴァートン/イングランド)
ナンパリス・メンディ(レスター/イングランド)
シェイフ・クヤテ(ノッティンガム/イングランド)
FW
ブライユ・ディア(サレルニターナ/イタリア)
クレパン・ディアタ(モナコ/フランス)
イスマイラ・サール(ワトフォード/イングランド)
交代出場
62分 ディアロ→イスマイル・ヤコブス(モナコ/フランス)
69分 ディア→バンバ・ディエン(マルセイユ/フランス)
73分 クヤテ→パプ・ゲイェ(マルセイユ/フランス)
73分 ディアタ→ニコラス・ジャクソン(ビジャレアル/スペイン)
オランダ
フォーメーション:[5-3-2]
監督:ルイ・ファン・ハール
GK
アンドリエス・ノペルト(ヘーレンフェーン)
DF
マタイス・デ・リフト(バイエルン/ドイツ)
フィルジル・ファン・ダイク(リヴァプール/イングランド)
ナタン・アケ(マンチェスター・C/イングランド)
ダレイ・ブリント(アヤックス)
デンゼル・ダンフリース(インテル/イタリア)
MF
コーディ・ガクポ(PSV)
ステフェン・ベルフハイス(アヤックス)
フレンキー・デ・ヨング(バルセロナ/スペイン)
FW
ステフェン・ベルフワイン(アヤックス)
フィンチェント・ヤンセン(アントワープ/ベルギー)
交代出場
62分 ヤンセン→メンフィス・デパイ(バルセロナ/スペイン)
79分 ベルフワイン→ダフィ・クラーセン(アヤックス)
79分 ベルフハイス→トゥーン・コープマイネルス(アタランタ/イタリア)
90+4分 ガクポ→マルテン・デ・ローン(アタランタ/イタリア)