ベン・イェデル、ラカゼットといったベテランもいたが……

クリストファー・エンクンク、さらにはカリム・ベンゼマまで負傷離脱することになり、フランス代表の前線にトラブルが続いている。追加招集としてボルシアMG所属FWマルクス・テュラム、フランクフルトで活躍するFWランダル・コロ・ムアニを緊急招集したが、気になるのはその人選だ。

フランスは世界を代表するタレント集団だ。メンバー外となっている者の中にもワールドクラスの実力を持つ選手が複数存在し、今回もテュラムとコロ・ムアニ以外のFWを招集する手もあった。

例えばモナコで長く活躍してきたウィサム・ベン・イェデル、レンヌで昨季からブレイクする万能FWマルタン・テリエ、同じくレンヌでプレイする若手のアミーヌ・グイリ、リヨンに戻った経験豊富なアレクサンドル・ラカゼットも実力者だ。マンチェスター・ユナイテッドFWアントニー・マルシャルも候補に含めていいだろう。

ベン・イェデルはリーグ・アンで今季6ゴール、テリエは8ゴール、ラカゼットは9ゴールも記録している。状態は良く、代表のセンターフォワードでも十分に計算できる。

テュラムはブンデスリーガで10ゴールを挙げているが、最後の代表戦は昨夏のEURO2020・ベスト16だ。それも9分間しか出場がなく、ここまで代表キャップは4試合に留まる。まともに代表でプレイした最後のゲームは58分間出場した2020年11月のスウェーデン戦まで遡る。

コロ・ムアニもフランクフルトで結果を出しているが、今年9月に代表デビューしたばかりと経験が浅い。代表キャップは2試合のみで、そこからワールドカップメンバーに割って入る超スピード出世はなかなか興味深い。

ベンゼマが離脱したセンターフォワードにはミランで活躍を続けるベテランのオリヴィエ・ジルーがおり、コロ・ムアニとテュラムはジルーのバックアッパーと考えられる。コロ・ムアニは187cm、テュラムは192cmとサイズのある選手だが、よりジルーとは特長の異なるストライカーを招集する手もあったはず。

コロ・ムアニの場合はブンデスリーガで9アシストも記録しており、サイズに似合わぬ足下の技術も持ち合わせる。ジルーと同じく最前線のチャンスメイクから背後のグリーズマン、ムバッペといった主役アタッカーたちを活かすことを重要視した選考とも言えるが、ベンゼマとエンクンクが離脱したフランスの前線は機能するのか。デシャンがテュラムとコロ・ムアニをどう起用してくるのかは1つの注目点となりそうだ。