【識者コラム】初戦で対戦するドイツは19歳ムシアラと18歳ムココは要警戒

 カタール・カールドカップ(W杯)はアルゼンチン代表FWリオネル・メッシやポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド、ウルグアイ代表FWルイス・スアレス、クロアチア代表MFルカ・モドリッチなど、キャリアの集大成と言われるビッグスターが揃うなかで、気鋭の若手選手たちが参加している。そこから誰がブレイクするかも楽しみだが、日本のグループEにもヤングタレントは多い。日本にとっては怖い選手たちだが、特に警戒したい6人をピックアップした。

■ジャマル・ムシアラ(ドイツ代表MF/バイエルン/19歳)

 2列目のポジションにありながら、ブンデスリーガで9得点している事実が底知れない才能を物語る。高度なテクニックの持ち主であり、狭い局面でも正確にボールを動かせる。相手ディフェンスがタックルに来ても、それを利用するかのように外して突破、パス、シュートに持ち込む。アタッキングサードでボールロストがほとんど見られないのは脅威だ。何よりゴール前の落ち着きが本職ストライカーさながらで、GKまで視野に入れて冷静にゴールネットを揺らせる。

■ユスファ・ムココ(ドイツ代表FW/ドルトムント/18歳)

 W杯開幕の20日に誕生日を迎えたばかり。典型的なセンターフォワードではないが、ボックス内で勝負強さを発揮できる左利きのストライカー。カメルーン生まれだがドイツのFWらしく、若くしてゲーゲンプレスをハイレベルに実行できる守備スキルを身に付けている。スタートから出る場合は前線に張ってポストプレーをこなすより、2列目にカイ・ハフェルツなど、ボールキープ力の高い選手がいる前提で、相手ディフェンスをかき回すのが基本的な役割になる。

■ペドリ(スペイン代表MF/バルセロナ/19歳)

 11月25日生まれで、日本戦の時には20歳になっている。“神童”という言葉がぴったりの天才的なアタッカーで、4-3-3のインサイドハーフを基本ポジションとするが、いわゆる10番の役割をこなせる選手だ。多彩なパスワークを伝統とするスペインだが、それで終わらないのはペドリと18歳のガビがいるからで、ボールを動かしながら狙いすましたドリブルで縦に差し込んでくる。ストライカーではないが、ミドルレンジからのシュート精度はFW顔負けだ。

コスタリカFWベネットがスーパースター候補生

■ニコ・ウィリアムズ(スペイン代表FW/ビジャレアル/20歳)

 抜群の身体能力とスピードに加えて、左右の足でゴールを狙える新時代のエース候補。ビルバオで1トップを担う兄のイニャキはカメルーン代表を選択した。ニコはウイングを本職とする選手だが、中央でもプレーできる。22歳のフェラン・トーレス、同じ20歳のジェレミ・ピノというFW陣に若手のライバルはいるが、打開力という基準では特筆に値するものがあり、ルイス・エンリケ監督も勝負どころで起用してきそうだ。

■ジェウィソン・ベネット(コスタリカ代表FW/サンダーランド/18歳)

 実は日本が最も警戒しないといけないタレントで、パリ五輪を目指すU-21日本代表の大岩剛監督も才能を認めていた。イングランドのサンダーランド所属で、まだ国際的にそれほど名は知られていないが、左サイドハーフのポジションから多くの攻撃局面に絡んで、最後はボックス内でゴールを仕留めるワイドストライカーとも言うべき選手だ。ボールを持ったら前向きに仕掛けるセンスに加えて、オフでも嫌らしいところにポジションを取って来る。何より18歳とはにわかに信じがたい堂々とした立ち居振る舞いが、スーパースターの誕生を予感させる。

■ダニエル・チャコン(コスタリカ代表DF/コロラド・ラピッズ2/21歳)

 元々センターバックだったが、中盤にポジションを上げて覚醒的な成長を遂げた。ニュージーランドとの大陸間プレーオフで、途中から投入されて守備を引き締めて、本大会出場に貢献する働きを見せると、さらに出番を増やした。身体の強さを生かしたボール奪取から効果的な展開で、カウンターの起点になる。欧州行きも噂されるなかで、国内クラブのカルタヒネスからMLS(メジャーリーグサッカー)のコロラド・ラピッズに加入したが、今大会の活躍いかんでは欧州クラブからオファーが舞い込んでも全く不思議ではない。(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)