森保ジャパンは23日、FIFAワールドカップ・カタール大会のグループリーグ初戦で優勝候補のドイツ代表相手に2-1と勝利。見事ジャイアントキリングを成し遂げたのだが、戦前にどれほどの人がこんな結果を予測していたのだろうか。
森保一監督は後半キックオフからDF冨安健洋(アーセナル)を投入し、システムを「3-4-2-1」へ変更。プレスのかけ方が改善された上、自信の溢れるアグレシッブな日本代表のプレーが多くなった。
そんな森保ジャパンの戦い方を見た世界のアニメ好きは、今年10月から動画配信サービス『Netflix』などを通じて世界中に放送されている『ブルーロック』を思い起こしたのだろう。ドイツ戦後、ツイッターでは「ブルーロック」というキーワードがトレンド入りしていた。
ブルーロックは、今までのサッカーアニメのコンセプトと大きく異なる。日本フットボール連合が日本をW杯優勝に導くストライカーを生み出すべく、ユース年代フォワード300人を対象としたプロジェクトを立ち上げ「ブルーロック」と呼ばれる施設を建設する。失格者は日本代表入りの資格を永久に失うという条件の中、選手たちは多くの試験に挑む。トップレベルで活躍するストライカーには、チームワークよりも圧倒的な個性やエゴ(自我)が求められる。
ドイツ戦で日本代表は素晴らしいチームプレーを披露した。確かにチームプレーがサムライブルーの強みであることは間違いない。しかしゴールシーンでは、自信に溢れるワンプレーで試合展開を左右できるストライカーが必要であることが証明された。
後半はMF三笘薫(ブライトン)、FW浅野拓磨(VfLボーフム)、MF堂安律(SCフライブルク)といった攻撃陣の交代カードが見事に機能。逆転ゴールを決めた浅野拓磨のプレーには、まさにストライカーとしての圧倒的な自信が表れていた。「ブルーロックだ〜」と思った人は少なからずいただろう。
ドイツ戦後、アビスパ福岡在籍時に(筆者は2019年に福岡でファビオ・ペッキア監督の通訳者を勤めた)とあるユース指導者から聞いた言葉が頭に浮かんだ。
「我々が子供の頃は、ゴール前でわがままなプレーをしてミスを犯すと、ものすごく叱られた。この指導方法は、多くの日本人選手が決定機でミスを恐れてパスを選択する原因に大きく関係していると思う。だからこそ、ミスをしてでもトライすることが大事だと今の子供たちに教えているよ」
この教育の変化がストライカーの進化に大きく関係していると強く思った次第だ。
人気漫画『キャプテン翼』が世界のサッカーに大きな影響を与えたように、『ブルーロック』が日本人選手がメンタル面で進化するためのきっかけになると思うと、日本代表へのワクワクが止まらない。