サッカー日本代表は27日、カタールワールドカップのグループステージ第2節でコスタリカ代表と対戦する。
23日のドイツ代表戦でDF酒井宏樹が左太ももを痛め、その後の3日間は別メニュー調整に。コスタリカ代表戦では右サイドバックとしてDF山根視来の先発出場が濃厚になった。
「ずっと中3日で試合が行われるので、どこかで(チャンスが)来ると信じて、最初にここに入ってきた時から準備してきました。問題なくいけると思います」
山根はワールドカップ開幕直前の17日に行われたカナダ代表との国際親善試合に途中出場したが、終盤にペナルティエリア内のファウルで決勝PKを献上していた。
大会前最後のテストマッチで、途中出場にもかかわらずPKを与えてしまうという失態。ワールドカップ本大会に置き換えれば、0-0のまま勝ち点1を確保するか、決勝トーナメントなら延長戦に持ち込むかを考える時間帯に最も犯してはならないミスだ。
森保一監督でなければ、ワールドカップでの起用をためらってもおかしくない。しかし、山根のこれまでの成長を認めたうえで「課題と向き合ってしっかりと取り組んでプレーしてくれていたところを評価してあげたいし、どんどんチャレンジしてほしい」と、変わらぬ信頼を示した。
9月末のエクアドル代表戦に出場した際は守備対応で後手に回るシーンも多く見られた。カナダ代表戦でもPK献上の場面で守備対応の拙さを指摘する声があがっていた。それでも森保監督は「ワールドカップで戦う基準にしっかり修正して合わせてくれている」と、約1ヶ月半という短期間でのディフェンス面の改善を高く評価していたのである。
今こそ、指揮官からの信頼に応える時だ。ワールドカップには、どんな苦境をも一瞬で全てをひっくり返せるパワーが秘められている。
「(長友)佑都くんがドイツ代表戦前に『どれだけ技術を磨いてきても準備してきても、目の前の相手にビビったら意味がない』と言っていました。本当にそこかなと思っています。どう思われるかはわからないですけど、やはり楽しんで、自信を持ってやること。そこにフォーカスして準備したいです」
不安な気持ちを抱えたままネガティブ思考でピッチに立てば、たちまち相手の勢いに呑まれてしまう。ワールドカップという大舞台では、成功と失敗が紙一重で、勇気を持ってチャレンジしなければ成功はつかめない。
山根は「いつも自分に期待していますし、(うまくいくかは)本当に自分しだい。強みを出し続けるしかできないと思いますし、それでいい結果が出ればいい」と覚悟を決めている。
ドイツ代表戦ではピッチに立てず、勝利の喜びと同時に悔しさを味わったという。それによって「やはり試合に出て、何かを残したいという思いがより強くなりました」と語った山根。カタールの地で、自らの存在価値を証明できるだろうか。
コスタリカ代表戦は、山根にとってサッカー人生最大のテストの場になるかもしれない。
(取材:元川悦子、文・構成:編集部)