メキシコ戦の前半も嫌な流れだったが……
グループステージ初戦のサウジアラビア戦を落とし、嫌な形でFIFAワールドカップ・カタール大会をスタートさせてしまったアルゼンチン代表。
2戦目の相手は北中米の試合巧者メキシコ代表で、サウジアラビアとはタイプの異なるクセ者集団だ。序盤からメキシコの守備は安定しており、アルゼンチンは思うようにチャンスを作れなかった。どこかサウジアラビア戦の悪い流れを引きずっているようにも見える前半で、アルゼンチンがあっさりグループ敗退の可能性もあると考えた人も多かったのではないか。
最前線にはインテルでもゴールを量産するラウタロ・マルティネスが構えているが、伊『Gazzetta dello Sport』はこの日のラウタロに関して「60分にわたって行方不明だった」と指摘。違いを作れなかったと厳しい評価だ。
アルゼンチンとしては苦しい状況だったが、やはりこれを救えるのはFWリオネル・メッシしかいなかった。今回が自身最後のワールドカップになる可能性が高いとされており、こんなところで終われないとの思いもあっただろう。
後半からメッシは中盤へと顔を出してボールを呼び込み、チャンスメイクしつつ自身でもゴールを狙っていく。そして64分、メッシが左足ミドルシュートでついに均衡を破り、アルゼンチンのムードを一気に変えた。
同メディアは「メッシは7度バロンドールを獲得した理由を示し、チームを決勝トーナメントのレースへと戻した」と称賛。まだ決勝トーナメントへ行けると決まったわけではないが、ひとまず希望は見えた。
現チームの強みとされていた守備陣がクリーンシートを達成したのも大きい。きっちりと守り、メッシのアイディアで得点を奪うのが今のアルゼンチン流だ。ややメッシに頼りすぎていたところもあるが、メッシ無しでアルゼンチンのワールドカップ制覇はあり得ない。
大会前は優勝候補の一角とされてきたが、アルゼンチンは本来の調子を取り戻すだろうか。嫌な流れを振り切ってくるあたりはさすがメッシと言うべきで、これが今大会2ゴール目だ。大会前には得点王を獲得するとの予想も出ていたが、メッシはここから大会の主役となるのか。