現代サッカーではどのチームも高度な戦術と並外れた身体能力が求められる。それでも、それぞれの特徴があることは変わらない。そしてそこには、その国の文化が反映されることもある。

 米誌『Forbes』は11月26日、「ワールドカップで熱狂させている日本代表が体現する同国の企業文化」と題した記事で、世界で成長しつつある日本サッカーには文化の影響もうかがえると報じた。

 同誌は「カタールでの躍進は、プロリーグ誕生からの30年にわたってダイナミックに成長してきた成果」と指摘している。

「この20年、日本から欧州のトップクラブ、特にブンデスリーガに渡って活躍する選手が増えた。この年代でサッカーが人気になり、日本がサッカー界の端から中心的舞台に立つのに役立った」
 
 そして、「代表チームは日本の仕事や組織への独特なアプローチの表れ」と続けた。

「挨拶から服装、時間厳守への企業的な厳しさは幅広く知られている。ピッチで自分勝手にならず、指示に素直に従うことなど、サッカーのメソッドにも影響している要素がある」

 日本企業の経営を研究する専門家ウリケ・シェーデは、「伝統的に日本の職場は労働時間や仕事のしかたなど行動規定が厳しい。製造では細部に非常に気を配る」と述べている。

「日本の芸術表現で大事なのは、言われたとおりにやること。完全に台本通りなのだ。個々の調整ができるのは、世界王者になってから。ファッションを見ても、派手さがなく、既存の規範内。料理も同じで、派手だったり、大胆不敵だったりはせず、繊細だ」

 これを受け、Forbesは「ビジネス同様、日本サッカーは個々が勤勉に細かく仕事をする。タケヒロ・トミヤス(冨安健洋)やタクミ・ミナミノ(南野拓実)、タケフサ・クボ(久保建英)のようによく知られたタレントたちもいるにもかかわらず、ロナウドのようなエゴはない」との見解を示した。

「オールラウンドなチームで、どこに動き、どうパスの角度をつくるかを知り、守備は規律が取れている。ドイツ戦のように、攻撃で違いをつくるのにも、個々の発想を許すより前に基本を優先する」

 最後に、同誌は「高みを目指すなら、より多くが求められる」とし、「サッカーの能力と不屈の精神力を組み合わせる必要がある」と分析。ロシア・ワールドカップでベルギーに逆転負けしたことを例に出しつつ、「日本はその教訓から学んだという感じがある」と締めくくった。

「サッカーの文化を築くには、一世代が必要となる。それがようやく実を結びつつあるようだ。無私のグループであり、明確な指針でマネジメントされる彼らは興味深い。スペインやドイツと同組のグループを突破すれば、日本のようなチームには進歩となる」

 その決勝トーナメント進出に迫ることができるか。コスタリカとの一戦は間もなくだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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