日本代表はカタールW杯で、「前半は耐え凌ぎ、後半に勝負をかける」という戦略を駆使してグループリーグを首位通過した。だから成否を分けるキーマンになっていたのは、後半から投入されるスーパーサブ陣、つまりは「ゲームチェンジャー」だった。
ドイツ戦はいずれも途中出場の堂安律、浅野拓磨、三笘薫、南野拓実が攻撃面で違いを作り、冨安健洋も守備面で大きな存在感。スペイン戦もこれまた堂安と三笘がゴールに絡み、怪我を押して強行出場した冨安と遠藤航がディフェンスの強度を上げて逃げ切りに貢献した。
しかし、目標のベスト8進出に向けた大一番となったラウンド16のクロアチア戦(現地時間12月5日)では、途中交代のカードがいずれも違いを作れず。三笘は相手の対策に苦しみ、浅野と南野は前線でボールを収められず、田中碧はパスミスが目立った。チームに大きな上積みをもたらしたのは、守備強度を上げた酒井宏樹だけだった。試合後の取材対応では、本人たちも悔しさを滲ませた。
「流れを変えられなかった点は悔いが残ります。それが今の自分の実力。ミスも多かったですし、たとえ相手が2人きても抜き切らなければいけなかった」(三笘)
「率直に悔しい。何もできなかった。不甲斐なさが込み上げている。まだまだ未熟だなというのを思い知らされた」(浅野)
「悔しい。二度とこんな経験したくないなと思いましたし、チームとしても悔しさもあるし、個人としても悔しさもある」(田中)
「本当にもう悔しいのと、自分に対しての怒りとか、励ましてくれるチームメイトに申し訳ない思いだった」(南野)
逆の意味で言えば、クロアチア戦は発熱によって欠場した久保建英の不在が響いた試合でもあった。久保は先発したドイツ戦とスペイン戦でとりわけ守備面でチームを助け、勝負をかける後半への流れを作る貴重な存在だったからだ。この試合でも万全ならスタメンの可能性が高かったし、一方でボールを握れる展開でもあっただけに途中投入のゲームチェンジャーとしても計算できたはずだ。
クロアチア戦はスタメン組が試合の流れを作り、ゲームチェンジャーがそれを変えるという今大会における森保ジャパンの勝利の方程式が作れなかったことが、敗因の1つとなったのは間違いない。
取材・文●白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)
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