日本代表は27日、カタール・ワールドカップ第2戦でコスタリカ代表と対戦し、0-1で敗れた。ドイツ相手の白星発進が衝撃的だっただけに、ファンの落胆も小さくはない。だが、まだ何も終わってはいない。ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生が、コスタリカ戦を振り返りつつ、未来へと目を向ける。

■先発選考に問題は?

――おふたりともこの試合を、グループステージを勝ち抜くための決勝戦のつもりで戦うべきと言っていたので、先発のメンバー選考は驚きでしたか。

後藤「ひとつの考え方として、新しい選手をここで使っておこうというのは当然あり得るからね。いくつかある考え方のうちから何を選択するかという話であって、森保一監督がこちらを選択したことに問題はないと思うんだけど、思ったよりもはるかに選手の出来が悪かったということですよね」

大住「そう。どちらの選択肢が良くて、どちらが悪いということではない。いくつかの考え方がある中から、森保監督はこれを取ったというだけの話であってね」

――ドイツに負けてコスタリカに勝っても、現実と同じ1勝1敗という意見もあります。

後藤「ドイツに負けてコスタリカに勝ったら、あまりにもふつうだから、面白さという面ではドイツに勝った方が面白かったね」

大住「会見で森保監督は、最初から3試合で勝ち抜きを決めるつもりだったから、何も状況は変わっていないと言っていたよ」

■選ばなかった最高のシナリオ

後藤「3試合で決めるというのは当然だけど、2試合で決められたらベストには違いないわけでさ。3戦目で休ませるべき選手を休ませて、4戦目のラウンド16でベストメンバーを組むというのが最高のシナリオだったのに、そのための最高の努力をしなかったんだよね。だから結局、最初のプランどおりになった。

 3戦目に全力を尽くして戦えば、グループステージを勝ち抜いたとしても4戦目にかなり疲労が残ってしまう。したがって、ベスト8に勝ち上がる可能性は小さくなったということですね」

大住「東京オリンピックでは、グループステージでメンバーをほぼ変えなかったことで、その後で苦しんだから、またそうなるかもしれないと森保監督は考えたのかな。それでも、監督がこういう戦い方をすると選択したんだという話であって、メンバーを変えずに戦ったら勝てたのかなんて分からないし」

後藤「可能性の話ですよ。目標はベスト8と言っているわけだから、そうなると4試合目のラウンド16がすごく大事になってくる。そのために3戦目で疲れている選手たちを休ませられる、まさに僥倖としか言えないような状況をつくり出せる可能性が、目の前にあったわけですよ。それを取りにいかなかったのはおかしい、と思うわけです」

■奇策に走り過ぎたか

大住「この試合では、遠藤航が少し疲れている感じがしていたよね」

後藤「そうならば、遠藤を3戦目で休ませたいよね、という話になるじゃないですか。でも、それがもうできなくなっちゃった。この試合で勝っておけば、疲れている選手を全員休ませられた。その上でラウンド16で、相手がベルギーかクロアチアか分からないけど、ベストメンバーで戦って勝ちにいく、というのが最善のシナリオだった。

 もちろん大会前にはそんなシナリオが実現する可能性はそれほど大きくなかったけれど、実際にはドイツに勝てたことで浮上してきた最善のシナリオを実現させるために戦うべきだった。もちろん、そのシナリオに沿ったら必ずこの試合に勝てたというわけじゃないけど、ベストエイト進出の可能性を少しでも高めるための選択としては失敗だったと僕は思います」

大住「僕も同じ意見だね。やはり、ちょっと奇策に走り過ぎた感じがするよね」