VfBシュツットガルト所属の日本代表DF伊藤洋輝(23)は、FIFAワールドカップ・カタール大会(カタールW杯)で1試合に出場。先月27日のコスタリカ戦でMF三笘薫(ブライトン)にほとんどパスを出さなかったことで話題を呼んでいたほか、セリエA(イタリア1部)ローマ移籍の可能性が取りざたされている。そんな中、VfBシュツットガルトの幹部が来年1月の移籍ウインドウにおける補強戦略に言及した。7日、ドイツ・シュツットガルトの地元紙『シュツットガルター・ナハリヒテン』が伝えている。

 伊藤洋輝は昨年6月にジュビロ磐田からVfBシュツットガルトへ移籍すると、海外挑戦1年目から3バックの一角でレギュラーに定着。今季もここまでブンデスリーガ15試合中12試合に先発出場。主力選手として日本代表MF遠藤航(29)とともにチームをけん引している。

 また今年6月2日にはキリンチャレンジカップ・パラグアイ戦で日本代表デビューすると、9月にドイツで開催されたキリンチャレンジカップ2試合にも出場。カタールW杯開幕直前の強化試合・カナダ戦では左サイドバックのポジションでフル出場したが、本大会ではコスタリカ戦でのみプレー。そのコスタリカ戦では日本代表が0-1で敗れたこともあり、三笘薫へのパスを出さなかったことやバックパスを選択する場面が目立っていたことで過度な批判や誹謗中傷にさらされていた。

 そんな伊藤洋輝の去就については、イタリア紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』が先月中旬にローマからの関心を報道。『ローマ・ニュース』はアルバニア代表DFマラシュ・クンブラのローマ退団を前提条件に挙げた上で「VfBシュツットガルトは伊藤洋輝の価値を1000万ユーロ(約14億5000万円)と評価している。ただローマは600万ユーロ(約8億7000万円)以上を支払うことを望んでいない」と見解を述べていた。

 一方、VfBシュツットガルトはクラブが監督や一部幹部の交代による人件費の増加、スタジアム改修やコロナローンの返済にかかる費用の負担等により財政が悪化。来年1月に移籍金を捻出する必要があるとの見方が広まっている。

 その中『シュツットガルター・ナハリヒテン』はVfBシュツットガルト会長を務めるアレクサンダー・ウェラ氏のコメントを紹介。これによると、ウェラ氏は「VfBシュツットガルトには競争力がある」と現有戦力に対する満足感をあらわにした上で「この冬に選手を売らざるを得ないということはない」と主張。伊藤洋輝ら主力選手引き留めの可能性を示唆したという。

 なおVfBシュツットガルトは今季序盤から苦戦を強いられており、リーグ戦15試合を終えた時点で18クラブ中16位に低迷。今月5日にはブルーノ・ラッバディア氏の監督就任やスポーツディレクターの交代を公式発表している。