日本代表は27日、カタール・ワールドカップ第2戦でコスタリカ代表と対戦し、0-1で敗れた。ドイツ相手の白星発進が衝撃的だっただけに、ファンの落胆も小さくはない。だが、まだ何も終わってはいない。ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生が、コスタリカ戦を振り返りつつ、未来へと目を向ける。

■攻めに出るべきだった試合

――初戦でドイツに勝ち、お祭りムードで迎えたコスタリカ戦。日本では日曜日の19時に、地上波のテレビ朝日でも放送されて、世帯視聴率42・9%、瞬間最高視聴率は試合終了時の53・8%というとんでもない数字になりました。それだけに、敗戦の落ち込みも大きそうなのですが、現地カタールでの2人の受け止め方はいかがですか。

大住「もちろん、ここで勝って勝点6になっていれば、グループステージ突破の可能性は非常に大きくなったはずなので、それを逃したことはみんな残念に思っていますよ。それに次の相手がスペインだということで、勝つのは簡単ではないだろうなあ、というもやもやとした空気は漂っていますね」

後藤「結果はもちろんだけど、試合の入り方が残念でしたね。ワールドカップの試合なんだから、当然勝つことも負けることもあるし、前半を0-0で終えて後半に攻撃力を上げて…、という考え方も分からなくはないけど、あまりにも前半は消極的だったな」

大住「入った直後は良かったんだよ。開始2分で左サイドを2回突破したんだから」

後藤「コスタリカは初戦で7点取られた後なんだから、あそこで点を取っちゃえば相手は戦意喪失して、あとはどんどん点を取れたかもしれない。でも、日本が手こずっているうちに向こうは自信と守備のリズムを取り戻した。だから、まず日本が先に攻めていくべき試合だったと思いますけどね」

大住「そうだよね。でも前半はバラバラでボールが収まらず、選手の動きもなくてと、本当に攻撃面では何も良いところがなかったよね」

■「初のW杯」の重み

後藤「前半の最後の頃には、まだ0-0でいけばいいや、という思いが見え見えでしたもんね」

大住「僕もそう感じていた」

後藤「試合の流れからいって、前半の最後がああいう雰囲気になるのは当然だと思いますけど、あまりにも早くからそういう感じになっちゃっていた」

大住「後半も開始1分くらいでがーっと突破する場面があって、これは流れが変わるかなと思ったんだけど…。ああいう攻めを45分間は続けられないけど、波のように何度も仕掛けてスタジアムが沸くような状況になっていたら、たとえ今回のような結果になってもしょうがないと思うけど、そうではなかったもんね」

――慎重に戦い過ぎたのか、相手に合わせてしまったのか…。

後藤「慎重にいこうという思いは、最初からチームの中にあったと思うんですよね。もうひとつの要因は、ドイツ戦に出ていなかった選手が出てきて、やはり初めてのワールドカップへの緊張なのか気負いなのか、あるいは試合勘の問題なのかは分からないけど、普段できているはずのことができていなかった」

■体がついていかなかった守田

大住「とにかく出来の悪い選手が多すぎたよ。それが、1つや2つのポジションだけであれば修正はできるんだけど、あれだけあちこちに穴ができるとなかなかもう…。個人を非難するわけじゃないけど、上田綺世は全然ボールが収まらなかったし、守田英正は全然ボールが足についていなかった。例えば相手の逆を取る動きにも、自分の体がついていかないような感じで、このワールドカップでプレーできるようなレベルにはなっていなかったよね。そうした選手が最初から随所に見られて、これは難しいな、0-0で終われば本当に御の字かな、という感じだった」

後藤「ドイツ戦の後に、守田がいたら違っただろうなあという話をしていて、今回出てきたので元気にやってくれるといいなと思っていたんだけど、全然元気ではなかったよね」

大住「例えばハーフタイムに5人交代すれば試合を変えられたと思うけど、そんなことはリスクが大きすぎるからできない。ああいうチームで送り出したことが一番の原因なんだけど、本当に難しい試合になっちゃったね」