日本代表は27日、カタール・ワールドカップ第2戦でコスタリカ代表と対戦し、0-1で敗れた。ドイツ相手の白星発進が衝撃的だっただけに、ファンの落胆も小さくはない。だが、まだ何も終わってはいない。ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生が、コスタリカ戦を振り返りつつ、未来へと目を向ける。

■システム変更の効果

――日本はドイツ戦に続き、システム変更で流れを変えようとしていました。

後藤「後半は、少しましになったかな」

大住「前半よりはボールを支配したよね。前半はコスタリカの方がパスを回していた。要するに奪いどころをうまく見つけられずに、相手に回されていたんだよね。相手の方がテンポが良かったから、追いかけさせられているような状況だった。それでシステムや選手を変えたわけだけど、交代策はドイツ戦とまったく同じパターンだったね。状況に応じてつぎはぎしていくような交代、という感じではなかった」

――交代出場した三笘薫に、もっとボールを持たせて勝負させたら良かったようにも思います。

後藤「最後に2回、ドリブルで突破したじゃない」

大住「最後はアディショナルタイムに入ってからだったけど、得点の可能性のあるプレーだったよね」

後藤「三笘のあのドリブルには初めて対峙した相手は面食らうから、隠しておく手もあったけど、見せて良かった点もあると思うよ。あのドリブルを見せておけば次に対戦するスペインの警戒度が上がって、パスという選択肢が増えるからね」

■試合前の驚き

大住「あまり関係ないかもしれないけど、キックオフ前にびっくりしたことがあるんだよ。キャプテンの吉田麻也がコイントスに勝ったんだけど、僕が当然選ぶだろうと思っていたのと反対のエンドを選んだんだよね。日向のサイドで、日本のGK権田修一は、完全に正面から太陽の光を受ける形になった。後半が始まってしばらくすればゴール前が日陰になって問題なくなるんだけど、どうしてあっちのエンドを選んだのか、まったく理解できなかった」

後藤「そうそう。前日に同じように日差しがきついスタジアムで行われたオーストラリア対チュニジアで、コイントスに勝ったオーストラリアは日陰のサイドを選んでいたよね」

大住「そうなんだよ。それなのに、吉田は即座に逆のサイドを選んでいた。森保一監督はおそらく吉田が決めたことだと答えるだろうと思ったから会見では質問しなかったけど、あれは本当に理解しがたいことだった。

 前半、太陽をまともに受けてプレーしないといけなくなるんだからね。サッカーでは、太陽を背負うとすごく攻めやすくなるし、守る側にはとてもやりづらくなる。コスタリカ戦が試合開始された13時のスタジアムの状況を前日にでも見ておけば、はっきり分かるはずなのにね。コイントスに勝ったらどうするか、あらかじめ決めておかないといけないと思うけど」

■「挑戦者」に戻るべし

後藤「そういう細かな戦略は、反町康治強化委員長の得意とするところなんだけどね。実際に前半、その判断が影響したというプレーは目につかなかったけど、いずれにしても得策じゃなかったことは間違いない」

大住「勝つためには、あらゆることをやらないといけないんだよね。本当に細かいことかもしれないけど、細かいことをおろそかにしたら、おろそかにしたなりの試合になっちゃうんだよ。どういう意図があったのか、機会があれば吉田に聞いてみたいところだな」

――いろいろな教訓を、すぐ次のスペイン戦に活かしていきたいところです。

大住「この試合の日本は、明らかにチャレンジャーじゃなかったよね。自分たちが格上で、試合をコントロールしながらどこかで点を取ろうという感じだったんだよね。もう一回、チャレンジャーにならないといけない。ワールドカップでチャレンジャーの姿勢を失ったら、どんな相手にも勝てないよ」

後藤「次は相手がスペインだから、チャレンジャーにならざるを得ないんだし、やってもらわなきゃ困りますよね。あとは、ここまで2試合して、調子が良い選手と悪い選手がはっきりと見えてきたと思うので、そういう意味ではグループ最終戦はベストメンバーでスタートしたいですよね」