日本代表は27日、カタール・ワールドカップ第2戦でコスタリカ代表と対戦し、0-1で敗れた。ドイツ相手の白星発進が衝撃的だっただけに、ファンの落胆も小さくはない。だが、まだ何も終わってはいない。ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生が、コスタリカ戦を振り返りつつ、未来へと目を向ける。

■スペインがドイツと引き分けた影響

――最終戦で対戦するスペインは、第2戦でドイツと引き分けました。現在の状況は最終戦の日本やスペインにどういう影響を与えますか。

大住「ドイツとスペインが1-1で引き分けたため、最終戦でドイツがコスタリカに勝つと考えると、日本はスペインに勝たなければならない状況になった。引き分けでもドイツと勝点で並ぶんだけど、ドイツがコスタリカから大量点を取る可能性は十分ある。

 非常に難しい状況だけど、逆にシンプルになったと思う。コスタリカ戦で引き分けていて、スペインに引き分ければドイツに追いつかれないという状況のほうが、日本チームとしては難しい状況になったんじゃないかな」

――日本はどのような戦い方をすればいいでしょうか。

後藤「コスタリカ戦で引き分けていれば、スペイン戦引き分けでも勝ち上がる可能性は残ったけど、今の状況では引き分けではほぼ無理でしょ。逆に勝てば1位通過。勝つためのチームで最初からベストの戦いをするしかない。相手はスペインなんだから、日本としてはベストのメンバーを組んで挑むしか方法はない。いずれにしても、スペインに勝てばラウンド16に行けるわけですよ」

大住「第2戦でスペインがドイツに勝っていれば、大幅にターンオーバーしてくるはずだったと思うけど、その方が日本にとって嫌だったような感じはする。元気で野心満々の選手が、個人勝負を仕掛けてくるわけだからね。理詰めで守れないから、その方が日本にとっては嫌だよ」

■失点しても気落ちは不要

――コスタリカ戦では失点の後に盛り返せませんでしたが、スペイン戦ではたとえ失点しても気落ちしてはいけませんよね。

大住「攻め崩すのが難しいなと感じているところでコスタリカに点を取られたわけだけど、“ここからいくぞ、まだ時間はたっぷりあるぞ”という感じではなかったよね。今大会で長く取られる傾向にあるアディショナルタイムを含めれば15分は残っていたはずで、実際に三笘薫のドリブルから決定的な形ができたわけだし。全然落ち込む必要はなかったのに、みんなシュンとした感じはあったよね」

後藤「初戦でドイツにリードされた時には、“まだいけるぞ”っていう感じがあったんですけどね」

大住「ああいう時はみんなで声をかけ合って大丈夫と言いながらキックオフしなければいけないのに、相手が喜んでいるのをぼうっと見ている感じはあった。まあ、あれだけ差がついたシュートの本数とゴール数が比例しないんだから、サッカーは難しいなと再確認したけどね」

後藤「ワールドカップで優勝するには、中3日でこういうレベルの試合を重ねていくわけですよ。しかも、いろいろな選手を使って、チームを変えながら、さまざまなことをして7試合を勝ち抜いてようやく優勝にたどり着くというんだから、大変なことだよね」

大住「7試合やるんだったら、グループステージでの1敗くらい、大したことないんだろうけどね」

■第2戦の黒星を活かせ

後藤「第3戦でスペインに勝って上に勝ち進めたとしたら、コスタリカ戦でいろいろな選手を使ったことが財産として活きるかもしれないよね。このワールドカップで初めてピッチに立つんじゃなくて、1回プレーしておいたことが最後に活きる、ということになるかもしれない。そういう意味でも、初戦で出なかった選手たちをコスタリカ戦に出したことは意味があるし、そういう選択をした理由はある。それは理解できることだから」

大住「一喜一憂しないことだね。スペインに勝てばいいわけで、本当にそのためにどうするかを考えるしかない。このコスタリカ戦についてああだこうだと言われるかもしれないけど、チームとしては前に進んでいくしかない。この試合を活かせれば、森保一監督がチャレンジしたかいはあったわけだよ」