カタールW杯のグループリーグ最初の2試合が1勝1敗という結果だった日本代表。決勝トーナメント進出を懸けた3試合目のスペイン戦は12月1日だ。
 
 その運命の試合に向けて、スペイン代表がドイツ代表と1―1で引き分けた第2戦を現地取材。その中で見えてきたスペイン代表の“弱点”を全3回に分けてレポートする。
 
 最後の第3回はセットプレー対応だ。今大会のスペイン代表はチーム平均身長が181.30cmほどと比較的高さがなく、179.73cmの日本代表と大差はない。GKやCB陣、CFのアルバロ・モラタなどを190cm台の大型プレーヤーは限られ、むしろ170cm台の小兵プレーヤーが少なくない。
 
 しかもCKはゾーンとマンツーのミックスながらマークの受け渡しがかなり曖昧なうえ、FKはラインを綺麗に整えてオフサイドトラップを積極的に狙ってくるし、GKウナイ・シモンもゴールマウスを開けて積極的に飛び出してくる。付け入る隙は十分にあるだろう。
 
 実際、ドイツ戦の39分には右サイドのFKからアントニオ・リュディガーにヘディングシュートを叩き込まれている。最終的にはVARのオフサイド判定で取り消しになったが、かなり紙一重のタイミングだった。
 
 このシーンは、リュディガーのマークについていたセルヒオ・ブスケッツがライン優先でストップ。しかし周りが呼応せずラインが下がってしまったため、リュディガーがほぼフリーの状態でヘディングしていた。
 
 他のセットプレーでも、単純な高さで劣るうえ、動きをつけて走り込んでくる相手に対してマークの受け渡しがスムーズではなく、失点しても不思議はないCKやFKが何度もあった。スペイン代表にとってセットプレーは間違いなく弱点の1つだ。
 
 日本代表としてはこの弱点を突いてゴールを奪いたいところ。しかし、ドイツ戦とコスタリカ戦を見る限り今大会のセットプレーの質は、CKやFKからのゴールがなんとゼロだったアジア最終予選とほとんど変わらない。キックの質はもちろん、合わせる動きもお粗末だ。
 
「森保ジャパンはセットプレー専用コーチを付けているから、本大会用に隠している」といった希望的観測は、今や完全に打ち砕かれている。ここまでの2試合はほとんどのセットプレーがニアで簡単にクリアされ、決定機に繋がったシーンは皆無だ。
 
 キックの質は今の段階から劇的には上がらない。せめて動きの質を高めて、大一番に臨んでほしいところだが……。
 
取材・文●白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

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