「W杯ジャッジリプレイ」でシステムの詳細に言及

 スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「ワールドカップ(W杯)ジャッジリプレイ」で、カタールW杯の開幕戦だったカタール代表とエクアドル代表の試合が取り上げられた。

 この場面では前半3分、エクアドルがフリーキックをゴール前に入れたところで競り合いが発生。そこからつながったボールでFWエネル・バレンシアがシュートを決めたが、オフサイドで取り消された。今大会で導入されている「半自動オフサイドテクノロジー」でDFフェリックス・トーレスが競ってボールに触った瞬間、次にプレーしたFWミカエル・エストラーダがわずかにオフサイドポジションにいたことが明らかになっていた。

 元国際審判員の深野悦子氏はこのシステムについて、「オフサイドをVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)がチェックするのはかなり時間が掛かるので、それをぎゅっと短縮してもらい、出ているか出ていないかだけをテクノロジーがチェックするので半自動。そこから先、誰がプレーしたか、インパクトがあったかなどはレフェリーが判断する」と説明し、これまでのシステムに比べてボールをプレーした瞬間の確定やオフサイドラインの策定に掛かる時間が大幅に短縮されると話した。

 ただし、この場面について元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は「GKにボールが触れた後にエクアドルの選手にボールが当たるので、その時点でオフサイドポジションに選手がいるか、浮いた後にオフサイドポジションの選手がプレーをしたか、利益を得たか、相手選手への干渉をしたかの見極めがあるので、半分は人間のジャッジになり見極めが難しくなる」と実際の判定には時間が掛かったことの理由を説明した。

 このテクノロジーが導入されたことにより、今大会ではほんのわずかなオフサイドによりゴール取り消しになる場面も生まれているが、逆に際どいオンサイドが見極められてゴールが認められた場面も発生している。とはいえ、開幕戦の開始3分でセンチメートル単位の判定が行われたことによるインパクトが大きかったのは間違いないと言えそうだ。(FOOTBALL ZONE編集部)