今シーズン限りで、浦和レッズの監督を退任したリカルド・ロドリゲス監督に、母国スペインのメディア『RELEVO』がインタビューを実施した。ここでは、同メディアの許可を得て、日本サッカーや森保ジャパンについて語った部分を掲載する。

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――浦和の監督を続けないと決めたとき、あなたに感謝を伝えるリアクションが起こりました? 最後の数試合はそのことを意識しての指揮でしたか?

「うん、とてもね。最後の試合では、ファンのみんなが、2年間とても良い時間を過ごせたと感謝してくれた。簡単に見えるかもしれない。でも我々が加入した時、新たなプレースタイルの構築や世代交代への着手など多くの課題に取り組まなければならなかった。その中で(天皇杯を制覇することで)、唯一のチャンスを活かして、アジア・チャンピオンズリーグの出場権を手に入れた。そのACLでも競争力を発揮しながらとてもいい戦いができた。現に浦和は最も多くの得点を奪ったチームだ。

 さらにスーパーカップでは直近5年で4度Jリーグのチャンピオンに輝いたフロンターレを下した(2-0で勝利)。クラブにとって大きなメリットとなるタイトル獲得だった。チームが厳しい状況に直面していた中での一戦で、簡単に見えるかもしれないけど、決してそうではなかった。浦和で成し遂げたこと、そしてクラブがこの2年間にわたって私に与えてくれたことにとても誇りを感じている」
 


――スペインには日本人選手に対して、技術に優れる一方で、ずる賢さが足りないとかゴール前の攻防を苦手にしているとかステレオタイプ的な見方があります。あなたの見解を話していただけますか?

「違う部分があるというのが私の見解だ。実際、同じ類の質問はこれまでも何度もされてきた。日本人選手を指導していて感じるのは、規律正しくて、学びたい、成長したい気持ちが強いということだ。いい加減な気持ちで取り組む選手はいない。こうした彼らの姿勢は私の指導理念にマッチする。(徳島でも浦和でも)様々なコンセプトやバリエーションを意欲的に吸収してくれた。

 よく話題に上がる競争心についても、日本人選手も食らいつく姿勢を持っている。前進していきたい、欧州でプレーしたい、タイトルを獲得したいという野心を持っている。(徳島も浦和も)チームの主軸を担っていたのは日本人選手だった。それは彼らが最も積極的に私のアイデアを吸収し、競争心を発揮しながら、コンビネーションプレーを重視するスタイルの発展に取り組んでくれたからでもある。6年間、日本人選手と一緒に仕事ができて、とても満足している」

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――日本代表をどのように見ていますか?

「私が近年、最も多く見てきた代表チームだ。チームのコンセプトは明確で、ブレずに攻撃サッカーを掲げている。肝となるのが2列目の3枚で、6、7人の中から誰が出場しても、興味深い選択肢になる。中でも三笘(薫)と鎌田(大地)は上り調子でワールドカップに臨めそうだ。2人は明確なアイデアを持ってプレーできる選手でもある。

 日本はスペインとドイツと同居する難関グループ(このインタビューはワールドカップ前に実施)に組み込まれた。決勝トーナメント進出は彼らにとってとても大きな挑戦になる。DFを4枚にするのか、5枚にするのかは監督がこれから決めることだけど、明確なアイデアでプレーできるのが日本の強みだ。W杯で注目を集める可能性はある」
 


――スペインが日本に対して気をつけるべきことは?

「日本の守備をいかにこじ開けるかが課題だろう。スペインにはゲームを支配する力があり、日本はその分、守備に比重を置いてカウンターで対抗してくるはずだ。日本が4バックと5バックどちらを採用するにしても、ボールを奪われた瞬間からプレスをかけて、試合の流れをコントロールしながら、カウンターの芽を摘むことが重要になる。

 スペインが試合の主導権を握り、日本がショートカウンターで活路を見出す展開が予想される。もし私が監督なら、ラインが間延びするように、日本にプレスをかける余地を与えることも考える。相手を押し込みながら、あえておびき出す。そうやって2つの戦い方をミックスさせるんだ」

――最後に日本代表の注目の選手を挙げていただけますか?

「三笘は好調を維持している。単独で局面を打開する突破力の持ち主だ。他に鎌田や久保(建英)もいるし、守田(英正)、田中(碧)、遠藤(航)と中盤にもとてもいい選手が揃っている。どの選手も活躍が期待できるよ」

インタビュアー・文●マルコス・ドゥラン(RELEVO)
翻訳●下村正幸