今大会で評価が上がることに

波乱スタートとなったFIFAワールドカップ・カタール大会のグループC。リオネル・メッシ擁する優勝候補のアルゼンチンがサウジアラビアに敗れ、世界中に衝撃が走った。

それでもアルゼンチンは続くメキシコ、ポーランドを撃破。黒星スタートとなったが、2勝1敗勝ち点6のグループC首位で決勝トーナメント進出を決めた。ラウンド16ではオーストラリアとの対戦が決まっており、それほど難しいゲームにはならないだろう。

今大会が自身にとって最後のW杯となるメッシは2戦目のメキシコ戦で素晴らしいゴールを決めた。ボックス外からのミドルシュートが突き刺さり、暗い雰囲気となっていたアルゼンチンの空気を変えた。

メッシ以外の活躍でいえば今大会で評価を上げている2人の若手に注目したい。FWフリアン・アルバレスとMFエンソ・フェルナンデスのことだ。両者ともに初戦のサウジアラビア戦は先発ではなく、主要人物として今大会に参加していないが、3試合目のポーランド戦ではアルバレスが左ウイング、フェルナンデスが中盤として先発を掴んだ。

どちらもアルゼンチンの名門リーベル・プレートの出身で、アルバレスはマンチェスター・シティ、フェルナンデスはベンフィカと今季から欧州のクラブでプレイしている。

アルバレスはストライカーだが、サイドでもプレイできる。バイタルエリアでの動き出しを得意としており、味方にスペースを生み出す。決定力も高く、ポーランド戦ではダメ押しの2点目を挙げた。

フェルナンデスはベンフィカでダブルボランチの一角として地位を確立している。攻撃、守備と両局面で輝くハイスペックMFとして知られており、中盤からアルゼンチンを支える。

2人の若手はこのカタールでさらに評価を上げることになるだろう。米『ESPN』ではフェルナンデスの活躍に注目しており、次の移籍市場で人気銘柄になると主張している。

昨季の冬の時点でこのアルバレスを買ったシティは賢かった。移籍金は1700万ユーロ(日本円にして約24億円)とされており、かなり安い。アーリング・ハーランドの存在もあって大活躍というわけではないが、リーグ戦では限られたプレイタイムの中で3ゴールとしっかり数字を残している。

ベンフィカもシティ同様に賢く動いた。ベンフィカは1200万ユーロ(日本円にして約17億円)とアルバレスよりも安く買っており、契約解除金を1億ユーロに設定したようだ。安くない値段設定だが、フェルナンデスはこのW杯でそれだけの価値ある選手になるだろう。

アルゼンチンを支える若い2人。いつもの展開なら今後の移籍市場で争奪戦となるが、補強の上手い2クラブがすでに確保している。シティから引き抜けるはずもなく、ベンフィカから買うには1億ユーロ用意しなければならない。ベンフィカはこの手の予想に長けており、シティもこの分野で地位を高めている。