前半はカメルーンが無失点で凌ぎきる

グループステージ最後の試合となったグループGの2試合。逆転での2位通過を目指すカメルーンはすでに決勝トーナメント進出を決めているブラジルとの対戦となった。勝ち点1のカメルーンは勝ち点3のスイスを追い抜くため、優勝候補ブラジルから絶対に勝利をあげなければならない。今回の試合では、前節のセルビア戦で途中出場から試合の流れを変えた10番アブバカルがスタメン入り。スタートからどれだけやれるのかは注目となった。

一方、ブラジルのチッチ監督は大幅なターンオーバーを敢行。ここまで途中出場がメインだった選手たちが先発出場のチャンスを得たが、それでも他国ならスタメン間違いなしのタレントばかりだ。今大会のブラジルは、2試合を終えた時点でまだ1本も枠内シュートを浴びていないなど堅守が光っており、メンバーが変わってもその点は維持したいところ。それに加え、決勝トーナメントでの戦いに向けて新たな攻撃のカードを見つけられると理想的だ。

最初にチャンスを作ったのはやはりブラジルだ。2分、ロドリゴの右サイドからのクロスにフレッジが合わせるもこれはうまくミートせず。その流れからアントニーが左足でシュートを放ったが、こちらも枠には飛ばなかった。

9分にはカメルーンも最初のチャンスを作る。左ウイングのムミ・ヌガマルが味方との連携から突破を図ったが、これはミリトンが阻止した。

その後もブラジルがカメルーン陣内でパスを繋ぐ時間が続いたが、20分に再びカメルーンがブラジルゴールに迫る。チュポ・モティングがドリブルでエリア内に侵入すると、ついていったファビーニョが最後までしっかりとこれに対応。シュートは打たせてもらえず。立て続けに左サイドから攻め立てるが、トロ・ヌフの左サイドからのクロスはエデルソンがセーフティにパンチングで弾き出した。

ボールを保持するブラジルは、ロドリゴの中央突破が効果的。28分、32分と、ロドリゴの突破からFKのチャンスをつくっている。前半アディショナルタイムにはカメルーンがビッグチャンスを迎えた。ムミ・ヌガマルが左サイドでボールを持つと、D・アウベスをかわしてファーにクロス。これをムベウモが頭で合わせ、シュートは枠内に飛んだが、エデルソンが横っ飛びセーブでしっかりと弾いた。

ブラジルが押し込む展開は予想通りだったが、失点を0に抑えてハーフタイムを迎えたカメルーン。左サイドを起点に何度かチャンスも作り、ブラジルにとって今大会初となる枠内シュートを浴びせるなど、前半の内容は上出来だった。

[W杯マッチ48]決勝T進出はならずもカメルーンがブラジルから金星をあげる! 後半ATに劇的な決勝弾が誕生
ドリブルやクロス、シュートなどで何度も見せ場を作ったマルティネッリ photo/Getty Images

後半アディショナルタイムにドラマが待っていた

後半に入ると、先に流れを掴んだのはカメルーンだった。47分、右サイドのムベウモがスルーパスに抜け出してCKを獲得。51分にはカメルーンが押し込み、エリア内でアブバカルがシュートを放つが、これはわずかに枠の左へと外れた。

やや流れが悪いブラジルは、55分に3人選手を交代。するとブラジルのターンがやってくる。56分にはマルティネッリがカウンターから左サイド突破を突破し、枠内に強烈なシュートを飛ばす。57分にはCKの流れからミリトンがゴール前でシュート。58分にはアントニーが得意の形から左足でカーブシュートを放ったが、いずれもエパシが反応し、難を逃れた。

その後はよりオープンな展開が続き、両チームともにカウンターからチャンスを窺う。象徴的だったのは78分のシーン。ブラジルはカメルーンに攻め込まれながらも自陣エリア内でボールを奪取し、カウンターからリベイロが右サイドを突破。中央のギマランイスへパスを送ったが、これは戻りきったムミ・ヌガマルがノーファウルで止めた。すると今度はカメルーンがカウンターを発動。途中出場のエンチャムがミドルシュートを放ったがこれはエデルソンがキャッチした。

ブラジルは79分から出場したハフィーニャを起点に右サイドから何度もチャンスを作るが、どうしても決めきることができない。スコアレスのまま試合が終わるかに思われたが、後半アディショナルタイム、ついに均衡が破れた。途中出場のムベケリが右サイドでボールを受けると、やや持ち上がってからアーリー気味のクロスを送る。これにアブバカルがヘディングで合わせると、エデルソンは一歩も動けず。カメルーンの奮闘がついに実った。

この得点後、歓喜のあまりユニフォームを脱いでしまったアブバカルは2枚目のイエローカードを提示され、退場となってしまった。カメルーンは残り数分を10人で戦ったが、最後まで無事耐えきって勝利をゲット。同時刻に行われたもう1試合がスイスの勝利で終わったため、カメルーンの決勝トーナメント進出はならなかったが、タレント揃いのブラジルから金星をあげたことは誇っていいだろう。

[W杯マッチ48]決勝T進出はならずもカメルーンがブラジルから金星をあげる! 後半ATに劇的な決勝弾が誕生
守護神エパシを中心にブラジルの猛攻を凌いだカメルーン photo/Getty Images

[スコア]
カメルーン 1-0 ブラジル

[得点者]
カメルーン
90+2分 バンサン・アブバカル

[ポゼッション]
カメルーン 30% ブラジル 54% 中立16%

[シュート数]
カメルーン 7 ブラジル 21

[枠内シュート]
カメルーン 3 ブラジル 8

[イエローカード]
カメルーン 5枚
トロ・ヌフ
ピエール・クンデ
コリンズ・ファイ
バンサン・アブバカル×2

ブラジル 2枚
エデル・ミリトン
ブルーノ・ギマランイス

[レッドカード]
バンサン・アブバカル


[ラインナップ]
カメルーン
フォーメーション:[4-4-2]

監督:リゴベル・ソング

GK
デビス・エパシ(アブハ/サウジアラビア)

DF
クリストファー・ウー(スタッド・レンヌ/フランス)
コリンズ・ファイ(アル・タエー/サウジアラビア)
エンゾ・エボス(ウディネーゼ/イタリア)
トロ・ヌフ(シアトル・サウンダーズ/アメリカ)

MF
ニコラス・ムミ・ヌガマル(ディナモ・モスクワ/ロシア)
アンドレ・フランク・ザンボ・アンギサ(ナポリ/イタリア)
ピエール・クンデ(オリンピアコス/ギリシャ)
ブライアン・ムベウモ(ブレントフォード/イングランド)

FW
バンサン・アブバカル(アル・ナスル/サウジアラビア)
エリック・マキシム・チュポ・モティング(バイエルン/ドイツ)

交代出場
64分 ブライアン・ムベウモ→カルル・トコ・エカンビ(リヨン/フランス)
68分 ピエール・クンデ→オリビエ・エンチャム(スウォンジー/イングランド)
86分 ニコラス・ムミ・ヌガマル→ジェローム・エンゴム・ムベケリ(アペジェク)

ブラジル
フォーメーション:[4-4-2]

監督:チッチ

GK
エデルソン・モラレス(マンチェスター・シティ/イングランド)

DF
ダニエウ・アウベス(UNAMプーマス/メキシコ)
エデル・ミリトン(レアル・マドリード/スペイン)
アレックス・テレス(セビージャ/スペイン)
ブレーメル(ユヴェントス/イタリア)

MF
フレッジ(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
ファビーニョ(リヴァプール(イングランド)
アントニー(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
ガブリエウ・マルティネッリ(アーセナル/イングランド)

FW
ガブリエウ・ジェズス(アーセナル/イングランド)
ロドリゴ(レアル・マドリード/スペイン)

交代出場
54分 アレックス・テレス→マルキーニョス(パリ・サンジェルマン/フランス)
54分 ロドリゴ→エヴェルトン・リベイロ(フラメンゴ)
54分 フレッジ→ブルーノ・ギマランイス(ニューカッスル/イングランド)
64分 ガブリエウ・ジェズス→ペドロ(フラメンゴ)
79分 アントニー→ハフィーニャ(バルセロナ/スペイン)