グループリーグの3試合にフル出場し、日本代表の守護神としてチームの勝利に大きく貢献してきたゴールキーパー権田修一。決勝トーナメント第1戦クロアチア戦を前にインタビューに応じた権田は、ここまでの戦いと周囲の反響について「天国と地獄をみた」と胸の内を明かした。

【映像】日本代表・権田修一 ここまでの3試合で「天国と地獄をみた」

-ここまでを冷静に振り返って。

 チームを勝たせるという意味ではもっと成長しなければいけないなと感じています。と同時に、大会をやりながら少しずつ落ち着いてできるところもあるので、課題感と成長できているなというのとどちらも感じています。

-チーム全体の成長やまとまりは高まっているか。

 もともと僕ら日本代表は、チームとして戦うところがストロングポイントです。国によってはまとまることが難しいチームもあると思うんですけど、僕らは、試合中にベンチの様子をみてもらうとわかるとおり、試合に出ている出ていない関係なく全員が戦っている。より一体感が増していると思うし、これからノックアウトステージになったときによりそういうチームの強さは発揮されると思います。

-GKチームもまとまりがありそうだが、3人の関係性は。

 まとまりというか、まずは全員がライバル関係というのが前提としてあります。GKは2人出るということが絶対にないので、一枠を常に争っているライバルであり仲間でもあります。今回、川島選手とシュミット選手と3人でやっていて、心地いいという言い方が正しいかわからないですが、試合の日は僕がプレーしやすい状態に持っていってくれるし、それ以外では「少しでもお前が手を抜いたら俺らが試合に出るよ」というパフォーマンスを2人が見せ続けてくれるので、刺激ももらいます。最高の3人だなと思います。

-この3人じゃなければ-結果が出ないということも。

 予選のときには谷選手もいた。彼も若いですがオリンピックで結果を残している選手で能力の高い選手です。彼も、予選の時に力になってくれたし、予選を一緒に戦ってきた仲間だと思っています。それ以外にも、日本にはたくさん良いキーパーがいて、僕より先輩も後輩もたくさんいる中で、日本のゴールキーパーみんなの代表として戦っているという感覚があります。

-グループリーグ1位で通過したことにより、「防衛大臣」と呼ばれていることについては。

 予選リーグは天国と地獄と両方みたので(笑)今年1年、清水エスパルスでシーズンを過ごして、良い時よりも悪い時のほうが多かったです。なんでお前が代表なんだとか、辞退してくれとかそういうメッセージもたくさん来ますし。良い時は持ち上げるだけ持ち上げて、悪い時は落とすところまで落とすというのが、人間なんだなとこの大会を通して感じました。人と人の関係として、どうかなと思うこともたくさんあるし、僕らはこの予選で人間の本質を見たなと。これから、ノックアウトステージが始まりますが、優勝と3位決定戦で勝つ以外は負けて終わることになるので、そうなったときに今盛り上がっている日本サッカーが一気に冷めてしまうことになるので、盛り上げて終わりたいなと思います。

-良い時も悪い時もメンタリティを保ち続ける秘訣は

 今の日本代表チームとしてはヨーロッパでプレーしてる選手が多く、直接的な批判を普段から浴びている選手が多いので、そういう意味では強くなってるなと感じます。日本のメディアは直接悪いところを指摘することが苦手な方が多いですが、今後日本のサッカーが成長していくために、若い年代から少し(批判に慣れておくことも)必要になってくるのかなと。国の代表として戦うと批判を浴びることは仕方ないことですし、うまくいかないときにリバウンドメンタリティを強くさせるという意味でも、もしかしたら陰で言うのではなく直接言うのが良いのかもしれません。

-クロアチア戦の分析は。

 クロアチアは、初出場が僕らと同じフランス大会なのに、彼らは前回大会で決勝まで進んでいる。それは彼らの国としての強さなのは間違いない。また、前回大会から出ている選手と新しい若い選手がバランスよく入っているし、ベルギーがクロアチアに屈しているということを考えてもやはり力のあるチームだなと思います。僕らはしっかり準備して臨まなくてはいけないなと思いました。

-次からは、負けたら終わりのノックアウトステージ。終わったときに、どんなワールドカップにしたいか。

 負けたら終わりではなく、勝ったら長い日本の歴史上で成し遂げられなかったことが成し遂げられるチャンスがあるということ。その場に立てるということは素晴らしいことです。負けたら終わりというメンタリティではなく、勝って次のステージに行くんだ、新しい景色を見るんだという(気持ちがある)のがこのチームの強さです。負けたら終わりと思っている選手は誰もいないし、日本の歴史を変えるぞという強い気持ちを全員が持っている。クロアチアの次は韓国かブラジルがいて、その後も1個1個のぼっていかなければいけないんですが、まずは過去の偉大な先輩たちが成し遂げられなかったことを成し遂げられる可能性があるということを楽しみたいと思います。

(『ABEMANEWS』より)