サッカー日本代表は現地5日、カタールワールドカップの決勝トーナメント1回戦でクロアチア代表に敗れた。1-1のまま突入した延長戦でも決着がつかず、PK戦の末に敗退となってしまった。

 クロアチア代表の貴重な同点ゴールをアシストしたDFデヤン・ロヴレンが試合後に取材に応じ「日本代表は自信に溢れたチームだった」と語った。そして、次のように続ける。

「極めてタフな試合だった。僕がワールドカップでプレーした中で最も難しい試合の1つになった」

 ロヴレンがワールドカップに出場するのは、今大会が3度目。2018年のロシア大会では決勝進出に貢献し、その過程で3度の延長戦と2度のPK戦を経験している。それでも今回の日本代表戦は彼にとって印象深い試合になったようだ。

「正直に言って、前回大会のデンマーク代表戦よりタフだった。日本代表は本当にファンタスティックなチームで、僕は敬意を抱いている。彼らは理由なくここまで来たわけではない。グループステージでドイツ代表とスペイン代表を倒していたから、僕たちは難しい試合になるとわかっていた」

 ロシアワールドカップの決勝トーナメント1回戦、クロアチア代表はデンマーク代表とPK戦までもつれる激闘を演じた。開始4分までに1-1になり、延長後半にはMFルカ・モドリッチのPK失敗もあってPK戦に突入。最後はGKダニエル・スバシッチがデンマーク代表のPKを3本止め、今回の日本代表戦と同じような展開で準々決勝に駒を進めた。

 その後、クロアチア代表はしぶとく勝ち進んで決勝の舞台に立ち、フランス代表と対戦した。前回大会も全試合に出場していたロヴレンから見ても、日本代表戦は厳しい戦いだったのである。

 彼曰く、勝敗を分けたのは「ちょっとした経験の差」だ。リバプールなどでも活躍したベテランセンターバックは「今日はより経験豊富なチームが勝った」と誇る。前回大会で120分+PK戦の激闘を何度も制してきた経験が、クロアチア代表を助けた。

 延長戦に入ってからチームの中心であるMFルカ・モドリッチやMFマテオ・コヴァチッチをベンチに下げたものの、焦ることなく戦い抜いた。交代選手たちはPK戦でも活躍し、クロアチア代表の準々決勝に貢献している。

「僕たちには『フレッシュな脚』が必要だった。今大会4試合目で、全員にとって非常にタフな展開。両チーム共にリズムがガクッと落ちたのを見たと思う。だから僕らには交代が必要で、途中出場した選手たちもベンチから素晴らしいクオリティをもたらしてくれた。

モドリッチやコヴァチッチがいなくても、チームに全く動揺はない。そもそも僕たちは全員、自信があるからここにいるんだ。モドリッチが下がっても、素晴らしいクオリティの持ち主であるロブロ・マイェルが入ってくる。ミスラフ・オルシッチもディナモ・ザグレブで実力を見せてきた選手なんだ」

 では、ワールドカップ決勝のピッチに立った経験を持つ者として日本代表に助言するなら? あえて「日本代表が将来ワールドカップのベスト8に進出するなら何が必要か?」と聞いてみた。ロヴレンの答えはこうだ。

「僕たちのGKリヴァコヴィッチに日本のパスポートを与えることだな(笑)」

 PK戦でMF南野拓実、FW三笘薫、DF吉田麻也と3本をストップした守護神ドミニク・リヴァコヴィッチの名前を挙げ、冗談で報道陣を笑わせた。

 饒舌に日本代表戦を振り返ったロヴレンは「もっとPK戦をやりたいか?」と問われると、「もうPK戦は御免だ。今後はないことを願う」と答えて取材エリアを後にした。準々決勝の相手はブラジル代表。優勝候補筆頭とのビッグマッチがどんな展開になるか楽しみだ。

(取材・文:舩木渉)

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