【FIFA ワールドカップ カタール 2022・決勝トーナメント1回戦】モロッコ0(PK3-0)0スペイン(日本時間12月7日/エデュケーションシティ スタジアム)
日本時間7日、「FIFA ワールドカップ カタール 2022」決勝トーナメント1回戦、モロッコ対スペインが行われた。前後半をスコアレスで折り返した試合は、延長の30分と合わせて120分で決着がつかず。今大会2試合目となるPK戦の末に、モロッコがPKスコア3-0で勝利した。
前半終了時点のポゼッション率はモロッコ31%、スペイン69%ながらも、戦前の予想に反して、その数字には現れないほど、試合の主導権を握ったのはモロッコだった。
モロッコは強度の高い守備でスペインの中盤で自由を与えず、決定機を作らせない。逆に左サイドのソフィアン・ブファルが切れ味鋭いテクニックを見せながらチャンスメイクするなど際立っていた。さらに、GKヤシン・ボノから勇敢に底辺からパスをつなぐなど自分たちのスタイルを貫く戦いを見せていた。24分には、その底辺のパスワークの乱れを突かれてピンチを招いたものの、GKボノとディフェンス陣が体を張って守り抜く。前半の決定機はこのシーンだけだった。
結局、モロッコの枠内シュート1本を含む4本に対して、スペインのシュートは枠外1本のみ。モロッコが格上相手に積極的な戦いを披露しながら、試合はスコアレスで折り返した。
後半に入ると、スペインがボールを持つ展開が加速するも、これはモロッコの狙い通り。グループステージ3試合で1失点の堅守を誇った守備陣は中央でブロックを敷いてチャンスを作らせない。
試合終盤は、モロッコが完全に自陣にリトリート。11人全員でラインを下げてスペインの猛攻を耐え凌ぎ、カウンターのワンチャンスを仕留める狙いに移行していた。スペインが外から回しつつ、75分には右サイドからのドリブル突破が武器の20歳ニコ・ウィリアムズを投入して変化をつける。
対するモロッコも66分、82分、84分までで、90分間で使える5枚の交代カードを使い切るなど、総力戦の中で消耗する選手を入れ替えながら、延長戦を見据えた選手起用を見せていった。
90分にはスペインが左サイドからのFKを獲得するもの、クロスからのフィニッシュは枠を捉えられず。攻守の構図がはっきり分かれた両者、譲らない戦いは、延長戦へと突入した。
延長前半はお互いに疲労を見せながらも、両者ゴールに向かい、ゴールを守っていく。そして延長前半13分には、先発出場でフル稼働するモロッコのアゼディン・ウナイが抜け出してGKとの1対1へ。股下を狙うコントロールシュートは、スペイン代表GKウナイ・シモンがシャットアウトした。
延長後半もスペインがゴールに迫るシーンを作ったもののスコアは動かず。120分で0-0の試合はPK戦へ。先行のモロッコは1人目アブデルハミド・サビリが決めると、後攻のスペインはパブロ・サラビアが右ポストに外して失敗。さらにスペインは、カルロス・ソレール、セルヒオ・ブスケツが立て続けにGKボノに防がれてしまう。
モロッコの3人目をGKウナイ・シモンが止めたものの、PKスコア2-0で、スペインは後がない状況。ここでモロッコの4人目、アシュラフ・ハキミが中央へのチップキックを決めて、PKスコア3-0。モロッコは守護神ボノが2本のビッグセーブを見せる大活躍を見せ、PK戦の末に勝利を収めた。
今大会、36年ぶりの決勝トーナメントへ進出したモロッコは、勢いそのままにスペインを打ち破り、同国史上初のベスト8入りを決めた。スペインに攻め込まれながらも、守り抜く覚悟を持って自陣を固め、堅守を貫いたモロッコの戦いは見事だった。
一方、2010年大会の覇者スペインは、前回のロシア大会と同様、ベスト16で姿を消すことに。登録26名の平均年齢が25.3歳と、32チーム中3番目に若いスペイン代表は今大会で“無敵艦隊”の名を取り戻すことができないまま、今大会を去ることになってしまった。
(ABEMA/FIFA ワールドカップ カタール 2022)