モロッコ代表の史上初のベスト8進出の立役者となったGKボノがスペイン代表戦を振り返った。

前大会準優勝のクロアチア代表、同3位のベルギー代表を退けてグループFを首位通過したモロッコ。36年ぶりの決勝トーナメント進出を決めた“アトラスの獅子”は、優勝候補スペインを相手に史上初のベスト8進出を狙った。

その大一番では前半こそ堅守速攻の形が機能したものの、後半と延長戦では連戦による疲労の影響もあって守勢が続いた。それでも、ディフェンスラインを中心に粘り続けたチームは、0-0のスコアで120分の戦いを終えた。

そして、準々決勝への切符を懸けた運命のPK戦では昨シーズンのラ・リーガでサモラ賞(最優秀GK賞)を獲得したセビージャGKが、圧巻の活躍を披露。

1人目のキッカーとなったMFパブロ・サラビアの右を狙ったシュートを完全に読み切ると、その動きが目に入ったか、よりコースを狙ったシュートは右ポストを直撃。さらに、2人目のMFカルロス・ソレール、MFセルヒオ・ブスケッツのシュートを見事な読みと反応で連続セーブ。この結果、4人中3人がPKを決めたモロッコがスペインを破り、アフリカ勢、アラブ勢の望みを繋ぐ会心のアップセットを起こした。

同試合後、殊勲の守護神は『beIN Sport』のフラッシュインタビューで劇的一戦を振り返った。

「PKに関しては、少しの直感と少しの運さ。僕らが勝った、それこそが最も重要なことだ」

「チーム全体に脱帽だよ。彼ら本当に素晴らしい仕事をしてくれた。信じられないほどだったよ。ボールをうまく支配し、ポゼッションを持っているスペインに対して、120分間集中し続けるのは決して簡単なことではないんだ」

また、今回の勝利によってモロッコはアフリカ勢として悲願のベスト4進出を目指す。スペインと同じイベリア半島勢との連戦となるポルトガル代表戦に向けては、あくまで平常心で臨むことの大切さを口にしている。

「こういった状況を経験すると、時々気づきにくいことがある。僕らはそういったもの(慢心など)を避け、自分自身、仕事、回復に集中するように努めるよ」

「そして、次の試合に臨むときは、すべてのプレーヤーの目に映るこの喜びと希望を持って臨みたい」