サッカー日本代表の森保一監督が12月7日、「FIFA ワールドカップ カタール 2022」を終えてカタールから帰国、日本サッカー協会・田嶋幸三会長、反町康治技術委員長、キャプテンの吉田麻也とともに会見を行った。グループリーグではドイツ代表、スペイン代表という優勝経験もある強豪国を下し「カタールの歓喜」と呼ばれたが、決勝トーナメントではクロアチア代表にPK戦の末に惜敗。悲願のベスト8には、あと一歩届かなかった。
会見で森保監督は「我々はこのワールドカップに挑むにあたり、日本人の魂を持って、日本人の誇りを持って、日本のために戦って、日本のサッカーの価値を世界に認めてもらうことを共有しながら戦ってきました」と語った。
森保監督は2018年7月に就任。ワールドカップでは前回のロシア大会でもコーチを務め、2021年に行われた東京オリンピックの代表監督も兼務した。カタール大会に向けたアジア予選では苦戦が続き、各種メディアから解任についての報道も出る中、本大会では強豪を下すための采配がずばり的中。海外メディアでは試合中に書いているメモも注目された。
-冒頭挨拶
我々の帰国を温かく迎えていただきありがとうございます。我々の活動にたくさんの方に応援、共闘していただきありがとうございます。
現地カタールで応援してくださったサポーターのみなさん、メディアのみなさんを通して日本から熱い共闘のエールが届いていたおかげで我々、そして選手は心強く勇気を持って世界に挑むことができました。本当にみなさんのおかげでチームのエネルギーになったことをお伝えできればと思います。
我々はこのワールドカップに挑むにあたり、日本人の魂を持って、日本人の誇りを持って、日本のために戦って、日本のサッカーの価値を世界に認めてもらうことを共有しながら戦ってきました。その気持ちをサポーターのみなさん、国民のみなさんと共有しながら世界の舞台で戦えたことを非常にうれしく思います。
我々の活動を通して、そして選手の活動、活躍を通して、国民のみなさんに夢や希望、そして日常の活力になる勇気や元気、根気をお伝えできればと考えて活動し、選手も頑張ってくれました。今回の我々の戦いが、日本の国民のみなさんの喜びと活力をもたらすことができていたら、本当に幸せです。
選手たちは、個のよさと団結力を持って、世界で戦えることを示してくれたと思いますし、今回我々だけで戦ったのではなく、チーム、サポーター、国民のみなさん、日本が一丸となって戦えば、世界と戦える、どんな相手も倒していけるという力が持てるということを、国民のみなさんと共有できたら本当にうれしいです。
選手たちは、ここにいるベテランの経験がある選手たちがチームを支え、そして今回26人中19人がワールドカップで初めての経験をするということ、ベテランがチームを支え、若手が躍動するということ、本当にチーム一丸となって結果として、活動としてお見せできることができて、選手たちにはありがたく思っています。
私がここで言いたいのは、本当にベテランの力、もちろんまだまだ大切ですし、これまで引っ張ってくれたことに感謝は尽きませんけど、若い選手でも日頃しっかりしたことをやっていればできるんだということを、勇気をもって自信を持ってプレーしてくれたことが、日本の若者により伝わっていくとうれしいと思います。日本の若い人たちも素晴らしい力、可能性を持っていると思いますので、我々日本代表の選手の姿を見ていただいて、おれたちもできるという自分たちの可能性を信じて、そして自信を持って、また成長してもらえたら本当にうれしいです。
我々は目標とするベスト16の壁を破ることはできませんでしたが、新しい景色は見ることができませんでしたが、選手たちが新しい時代を見せてくれたと思います。しかしながらまだまだ新しい時代の入り口にしかすぎないと思っています。これから我々が世界で戦っていくためにも、国民のみなさんの後押し、共闘が我々の力になります。今後とも我々と一緒に戦っていき、世界の壁を乗り越えてみんなで喜べるようになっていければと思います。これまでの応援、ありがとうございました。これからも日本のサッカーは日本の社会に貢献できるように、精一杯頑張っていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。
-空港に多くのサポーターがいた。
まずは我々はカタールで戦っていたので、メディア上での情報は多少知っていましたが、こんなに日本のみなさんが喜んでいただけているとは思っていなかったので、空港で驚きを感じました。そして我々の活動が、そして選手が勇気を持って粘り強く戦う姿勢を、喜んでいただけて本当にうれしく思いました。我々の方がありがとうという喜びの気持ちなんですが、温かく出迎えていただき、本当に幸せな気分になりました。
-今日でチーム解散。どんな言葉を。
いろいろありますが、まずは我々がこれまで活動してきた中で、カタールにいなかった選手たちが道をつなげてくれて、そして日本のサッカーファミリーのみなさんが道をつなげてくれて、国民のみなさんが道をつなげてくれたことに感謝して、幸せな素晴らしい大会ができたと話しました。今後の日本のサッカーの強化として、チームの活動はありますが、選手個々が個の能力を上げることが日本の強化に一番つながると思いますので、選手たちには高い基準を持って、より高いレベルでプレーすること、ワールドカップ基準で何をすればいいかということを常にし続けて成長してほしいと伝えました。プラス、個の強さはもちろんですけど、チームの団結力、一体感、つながる強さは日本のよさだと思うので、そこは個の強さで忘れないように持ち続けてほしいと訴えました。
-ドーハはどんな地に変わったか。
順位的な歓喜にはなりませんでしたけど、選手、スタッフと最高の準備と全力を尽くすことができましたし、国民のみなさんとサポーターのみなさんとチームが一体になって、ワールドカップ優勝経験がある国を破ることができて、本当に素晴らしい経験をすることができたと思います。「ドーハの悲劇」から「ドーハの歓喜」を味あわせていただきました。
-監督と選手の戦術のすり合わせは。PK戦の位置づけは。
まず大会を通して戦う中で、いろいろな戦術、戦略を考えていく中で、我々コーチングスタッフが大会の全体像、目の前の一戦にどれだけベストを尽くせるか、勝利を目指して戦えるかということを考えて、チームの準備を進める中で、選手からの選手目線で感じることを、吉田麻也キャプテンが選手から意見を聞いて、我々に伝えてくれる、それをいったん受け取って、我々が立てた戦術、戦略から選手の意見を活かしてそしてチームとしての戦い方を選手にフィードバックすると、これまでの活動、ワールドカップでの一戦ずつ目の前の試合に勝利するという目標を持ちながら戦いました。
監督が全て決めるという部分においては、最終決断は監督の責任として私がやってきましたが、選手たちは今回の大会でもおそらく思い切って戦えたのは、コーチ陣が本当にいい準備をしてくれて、試合に向けてのトレーニングを考えてくれる、そして選手たちのチーム戦術の把握、個々の役割を把握してもらうことのミーティング資料、映像資料を身を粉にして準備してくれて、選手たちに持たせてくれたことが選手たちが思い切ってプレーすることにつながったのかなと思います。そのベースから選手たちが状況に応じて、対応力を発揮するということ、ピッチ内でキャプテンをはじめとして非常にいいコミュニケーションを取りながら、臨機応変に戦ってくれたと思います。
PK戦に関しては、戦い方という部分で、監督が決める部分、チームで順番を決めるという準備はしていましたが、これまで我々というか私がやってきた中で、毎回同じPK戦の戦い方をしていたので、今回も同じような形を取ることにしました。後々結果を掴み取れなかったことにおいて、選手に責任を負わせてしまったということにおいては、私が全て決めた方が選手にとってもよかったかなという部分もありますし、結果ももしかしたら違ったかもしれないタラレバはありますが、まずは自分たちがやってきて、トレーニングをしてきましたし、そこに自信を持って気持ちを込めてPKを蹴ってもらうということで判断をしました。
PKを蹴ってくれた選手に関しては本当に勇気のある決断をしてくれたと思っています。口から心臓が飛び出るくらい、緊張とプレッシャーの中、選手たちが勇気を持って自分がチームを勝たせる、日本に勝利をもたらす、日本のために戦ってくれた勇気をまずは称えたいと思いますし、PK戦を見ていただいた方は、日常生活に反映させていただき、失敗を恐れず、勇気を持ってチャレンジすることが大切なんだと感じてもらえるとうれしいです。
-ロッカールームやホテルの様子が公開された。
内部の映像が一般に流れることですが、そこに関してはJFAのみなさんがよりサッカーの素晴らしさを国民のみなさんに、サポーターのみなさんに見ていただこうということで、計画、実行していただいて、我々はいろいろな提案を、サッカーの素晴らしさを伝えるための提案を、どこまでカメラが入ってくるということを事前にいろいろな質問を受けた中、できる限り自然体で全てを見ていただこうということで、世の中のみなさんに見ていただいています。
戦う表側、表面上に出てくるものだけではなくて、それだけでも選手は一流アスリートとして戦うこと、チームが世界に挑むところは間違いなく素晴らしいというか、見ていただいて心を動かしていただけると思いますが、より内部を見て、選手たちがどんな努力をしているんだろう、どんな準備をしているんだろう、だからこういう素晴らしいプレーができるんだということを、いろいろな方々、多くの方々に見ていただけるのはうれしいなと思います。選手たちが見せるプレーの努力は本当に大変な努力を積み重ねてきて、あの素晴らしい個々のパフォーマンスになっているところが、より多くの人に伝わっていればうれしいと思います。その中で監督はあんまりコメント力がないんですが、キャプテンがすごくコメント力があるんで、本当にサッカーに夢を持ってもらえる子どもたちが多くなったと思いますし、ここにおられる大人のみなさんも夢であったり希望であったり、日頃大変な生活をされている中、励ましのメッセージを受け取っていただけたらうれしいです。
-大会を振り返って一番印象的なシーンは。
いっぱいシーンが出てきますが、やはり最後のクロアチア戦が終わってからの選手たちの思いが出ていたシーンがすごく思い出されます。悔しい思いをする選手、涙している選手ということ、そこを見ていて、ロシアのワールドカップから、このワールドカップに向けて、本当に選手たちがワールドカップでベスト16の壁を破るんだという気持ちを強く持って戦ってくれた、そして結果その目標を達成出来なかった結果を目の当たりにしたリアクションは本当に忘れられません。私自身も辛い過去を持って大会に、カタールのワールドカップに挑んだつもりですけど、選手たちの表情を見ていると、本当により強い覚悟を持って世界に挑まないといけないなと思いましたし、プラスその選手たちができると思って、その場にいて悔しさを表していたと思うので、日本のサッカーが必ずベスト16の壁を破っていけるというそういう気持ちにさせてもらいました。
選手たちは精一杯戦ってくれていましたけど、相手の選手と対峙した時に局面で上回られるところがあったので、より強い気持ちを持って、相手より強い気持ちを持って戦うということ、ここで言葉にするとハラスメントで問題になるかもしれませんので言えませんけど、そういうことを話しました。今も言いましたし、選手たちは強い気持ちを持って戦ってくれていましたけど、自分たちが戦ったではなくて、相手に勝っていかないといけないので、そこを上回っていけるように選手たちにはより強い気持ちで伝えました。技術や戦術というところをおろそかにしてはいけないですし、絶対に準備していかないといけないですけど、小手先の策で世界の強豪に勝っていこうと思ったら、それは大きな間違いであって、強くなりたい、うまくなりたい、勝ちたいという気持ちから技術、戦術をしっかりと持つ、最後は我々が勝って目標を達成する、その試合に勝ってサポーターと喜ぶんだという強い気持ちがある方が、ボールが転がってくると思いますし、ボールも奪えると思いますので、そこを選手たちには伝えました。
(『ABEMA NEWS』より)