ベスト8が出揃ったカタール・ワールドカップ。ここからさらに熾烈なバトルが予想されるが、最後に黄金のトロフィーを掲げるのはどの国か。フリーライターの元川悦子氏に優勝予想を訊いた。

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 日本の奮闘が光ったカタール・ワールドカップも8強が出揃い、12月9日から準々決勝に突入する。この段階で番狂わせと言えるのはスペインを撃破し、史上初のベスト8入りを果たしたモロッコくらいで、それ以外の7か国は実績のある強国ばかり。どこも頂点に立つチャンスがあると見られる。

 こうしたなか、特に総合力が高いのは、ブラジルとフランスだろう。

 ブラジルは、グループステージ初戦のセルビア戦でネイマールが負傷。その後、スイス、カメルーン戦に挑み、カメルーンにはまさかの苦杯を喫したものの、ネイマールが復帰したラウンド16の韓国戦では4-1で圧勝。前評判通りの強さでここまで勝ち上がってきた。
 
 ガブリエウ・ジェズスやダニーロら負傷者が出ているのは気がかりだが、今大会3ゴールのリシャルリソンを筆頭に、ネイマール、ヴィニシウス・ジュニオールなど攻撃陣が好調。それを維持し、チッチ監督仕込みの組織的な守備が機能すれば、ファイナルまでは問題なく勝ち上がるのではないか。

 一方のフランスは、初戦のオーストラリア戦の4-1、デンマーク戦の2-1、ラウンド16のポーランド戦の3-1と爆発的な攻撃力が目立っている。大会前にはカリム・ベンゼマの欠場が不安視されたが、ふたを開けてみればオリビエ・ジルーがいぶし銀の働きを披露。ティエリ・アンリが最多記録を持っていた代表通算51ゴールを突破し、数字を52まで伸ばしている。

 さらに言うと、キリアン・エムバペの存在感も凄まじい。今大会5ゴールを挙げている怪物の破壊力は驚異的。強豪国のDF陣も彼を止める術を見出すのは難しい。エムパペがこの調子でゴール前で凄みを示し続ければ、イングランド、ポルトガルを倒して決勝まで勝ち進む確率が高い。
 
 となると、ブラジル対フランスという1998年フランス大会と同じファイナルが実現するわけだが、チーム完成度は互角。あとはどちらが王者に輝くかだ。

 フランスが勝るのは4年前の優勝。その分、ディディエ・デシャン監督やアントワーヌ・グリーズマンら主力は余裕を持って戦える。メンタル的優位性を最大限に活かして戦えれば、最終的にはブラジルを振り切れるはずだ。
 
 W杯連覇は、1934年イタリア大会と1938年フランス大会のイタリア、1958年スウェーデン大会と1962年チリ大会のブラジルの2か国が達成しているが、もしもフランスが優勝となれば、3か国目の連覇達成国になる。

 今回、エンゴロ・カンテやポール・ポグバら中盤の主力級が不在のなか、連覇を達成できれば本物の選手層の厚さが実証される。デシャン監督のマネジメント力に改めて期待を寄せたい。

文●元川悦子(フリーライター)

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