カタール・ワールドカップもいよいよ佳境に入り、12月9、10日に準々決勝が行なわれる。
ラウンド16で日本をPK戦の末に下したクロアチアは、最多6度目の優勝を目ざすブラジルと現地時間9日18時からエデュケーションシティー・スタジアムで対戦。ズラトコ・ダリッチ監督とキャプテンのルカ・モドリッチが試合前日記者会見に臨み、ブラジル戦について語った。
ここまでの戦いぶりについてモドリッチは「準々決勝進出は大きな成果。もっと大きなものを望んでいる」と、準優勝した前回ロシア大会に続く好成績への意欲を示した。準々決勝の対戦相手はダリッチ監督も「最大の優勝候補」と認めるブラジル。モドリッチは「今大会で最大の試合。最大限の力を発揮し、最高のプレーをしてチャンスを待つ」と、強豪に立ち向かう姿勢を話した。
モドリッチにとってはレアル・マドリー(スペイン)で共にプレーするビニシウス・ジュニオールとの戦いでもある。そのブラジル代表ウイングについては「レアルに来てから大きく成長したし、ワールドカップでもそれを示している」と評価。「彼の仕事を少しでも難しくするために、チームメイトにアドバイスするつもりだ。ここでは自分の国のために戦うのだから」と、国を背負って戦う決意も語っている。
一方、このクロアチア対ブラジル戦については、元日本代表監督のヴァイッド・ハリルホジッチ氏も、クロアチアのニュースサイト『Index.hr』のインタビューで見解を述べている。
「(クロアチアの)ベスト8は素晴らしい成果。その実力があることを再び証明した。クロアチアにはブラジル、フランス、アルゼンチンのように、強い個性を持った選手がいない。あの年齢(37歳)のモドリッチひとりだけに期待することはできない。クロアチア最大の問題は、真のセンターフォワードがいないことだ」
日本戦のクロアチアはブルーノ・ペトコビッチがセンターフォワードで先発。その後、アンテ・ブディミルと代わり、さらにマルコ・リバヤというストライカー陣を投入したが、決定的な仕事はできなかった。
前線の決定力に不安を抱える以上「守備に最大限、集中する必要がある。できるだけ長い時間、失点しないようにしなくては。そして重要なのは、延長戦やPK戦にもつれ込むことを考えた場合、少なくとも1点が必要になる」とハリルホジッチ氏。ブラジル相手の失点は、想定しておかねばならないということだろう
そして「クロアチアには世界でも稀にみるチームスピリットがある。運も非常に重要だ。日本とスペインの試合でゴールラインを越えたあのボールを思い浮かべてほしい。ミリ単位の事象が、ドイツの敗退、日本の(グループステージ)突破を決定した。恐れることなくブラジルに立ち向かえば、運が味方してくれるだろう」と期待を寄せた。
ハリルホジッチ氏はモロッコ代表監督としてチームをアフリカ予選突破に導いたが、今年8月に解任された。ハキム・ジエシュなど主力選手の処遇を巡って物議を醸したことが、その大きな要因と言われる。その後を継いだモロッコ人のワリド・レグラギ監督の下、チームは本大会で史上初の8強入りを果たした。
取材・文●石川 聡
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