判定検証番組「W杯ジャッジリプレイ」で日本対クロアチアのゴールシーンを解説
スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「ワールドカップ(W杯)ジャッジリプレイ」で、決勝トーナメント1回戦で日本代表がクロアチア代表と対戦した試合のゴールシーンが取り上げられた。
この場面は前半43分、ショートコーナーからMF堂安律が中央にクロスを入れ、DF吉田麻也が競ったこぼれ球をFW前田大然が蹴り込んでいた。この時、吉田のすぐ前で相手と競り合ったDF谷口彰悟がオフサイドポジションにいたかどうかが際どかったが、半自動オフサイド・テクノロジーにより、クロアチアの選手の左足先よりも前に出ている谷口のプレー可能な体の部分がないとして、オンサイドとゴールが認められた。サッカーのルールでは、腕や手など意図的にボールをプレーするとハンドの反則になる体の部分はオフサイド判定に含まれないため、腕や手の位置では比較されていない。
元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は「判定には大きく2つある」として「事実だけを判断して判定を下すものと、主審の解釈や主観的な判断を基に下すもの。今話しているオフサイドやボールが出ているかどうかは事実なので、解釈は関係ない。これが反則なのか、PKなのかという解釈は別の話なので、そこを理解しておけば感情に支配されることなく楽しめる」とコメントした。
ゲスト出演した現役時代に川崎フロンターレなどでプレーした鄭大世氏は現役時代の経験として、副審から近い位置に守備者がいて奥に攻撃者がいるか、その逆かによって判定が違ったという実感をコメント。また、ゲスト出演した元日本代表FW佐藤寿人氏は「僕は最終ラインで駆け引きしていた選手なので、ゴールが減ったかもしれない」と話す。一方で、鄭大世氏は「オフサイド・ディレイがあるから認められるものも増えたかもしれない」としたうえで、遠近法によって副審が目の錯覚を起こす場合もあると指摘した。
今大会では、背後へ抜け出そうとしたFWが加速しようと前傾した際の側頭部や肩の上部、あるいは守備者の膝の外側といった、副審がタッチラインのところから68メートル先までの範囲内を目視で、それも動いているものをボールがプレーされた瞬間の静止画的に比較するには限界があるようなものがミリ単位で判定されている。そうしたテクノロジーの進化は、際どいオフサイドで反則を認定するだけでなく、際どいゴールの正当性も保証している。(FOOTBALL ZONE編集部)