カタール・ワールドカップでの日本代表の戦いが終わり、すでに「4年後」についての議論があちこちで聞かれる。サッカーファンの間でなかでも関心が高い話題は、次期代表監督の行方。具体的には、森保監督の続投なるか、だ。

 カタール・ワールドカップでの日本の評価は正直、難しい。ドイツ、スペインとサッカー大国を破った一方で、目標に掲げたベスト8以上には到達していない。試合内容も含め、そのあたりをサッカー協会がどう判断するかで決まりそうな気がする。ただ、日本国内でのお祭りムード、さらに要請があれば「前向きに考える」という森保監督のスタンスも加味すれば、続投濃厚との見方はできる。

 もし続投するなら、今後の強化プランを森保監督自身の声でメディア、サッカーファンに伝えてもらいたい。もちろんそんな義務はないのだが、監督の仕事ぶりを正しく評価するうえでそれが重要な要素になるのは間違いない。

 もっとも、個人的には続投にポジティブな印象を抱いていない。森保監督の仕事ぶりを評価していないわけではなく、ここからサッカー人気を高めるうえでの刺激が足りないと感じるからだ。今回のワールドカップでサッカーに興味を抱いた、いわゆるライト層を今後取り込むうえで、エンターテインメント性は非常に重要になる。
 

 ならば、選考方法も大胆なものにすればいい。ブーイングを覚悟で述べれば、JFA主催の国民投票で代表監督を決めてもいいとさえ思っている。その投票自体も盛り上がるだろうし、そこで選ばれた監督も必然的に注目を集める。そういうやり方で森保監督が当選すれば、おそらく誰も文句を言わないだろう。

 突拍子のない提案に聞こえるかもしれないが、それくらいのことをしないとサッカーブームは訪れない。せっかくカタール・ワールドカップでのベスト16入りで国民の目がサッカーに向いているのだから、このチャンスを活かさない手はないだろう。
 
 仮に続投にならなかった場合、実績で考えるなら川崎の鬼木監督が筆頭候補だろう。ここまで4度のリーグ制覇に導いた手腕は掛け値なしに素晴らしく、その資格は十二分にある。とはいえ、クラブと代表チームは違うと、よく言われる。限られた活動期間の中で川崎のサッカーを日本代表に移行できるかは確かに不透明で、そこに不安があると判断された場合は、他の選択肢になるだろう(鬼木監督自身がオファーを受けるか否かもポイントだが)。

 文字通りエンターテインメント性をとことん求めるなら、本田圭佑一択。戦術面に明るい戸田氏が率いる日本代表も見てみたいが、2023年シーズンから相模原を率いることが決まっている。ならば、「カリスマ本田」に任せてもいいのではないかという結論に行き着く。カンボジア代表監督の契約は23年5月に切れるそうで、S級ライセンスを持つ参謀さえつければ決して非現実的な話ではないのではないか。
 

 解説者としても支持率が半端ない本田は、ライト層の受けもよい。彼の下にスタッフとして中村憲剛、内田篤人らがつけば、さらに話題性は高まるはずで、カタール・ワールドカップ後も「サッカーを観よう」という子どもが増えるに違いない。

 リアルではない発想というのは百も承知。しかし、長期的な視野でサッカー人気の回復を目指すなら、「日本代表監督・本田」がベストではないのか。結果が出なければ、実に安易だが、その時は監督交代すればいい。そうしたリスクマネジメントも含め、4年後のワールドカップに向けて準備できる力がサッカー協会にはきっとあるはずだ。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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