「論争の絶えないW杯」の一例として紹介、ほかには計18枚の警告やロナウドのノーゴール判定も

 1か月間続いたカタール・ワールドカップ(W杯)は前回王者フランス代表と36年ぶりの優勝を目指すアルゼンチン代表による決勝でフィナーレを迎える。インドのスポーツ専門誌「Sportstar」は「論争の絶えないW杯」と今大会を振り返っている。

 同メディアは1986年メキシコ大会でのディエゴ・マラドーナの「神の手」や、2006年南アフリカ大会でのフランク・ランパードのゴール無効(ゴールラインを明らかに越えていたのにノーゴール)などを例に挙げて「W杯では毎回歴史的な論争が起きている」とし、今回のカタールW杯で起きた注目のトピックを5つ特集。その中で真っ先に取り上げられているのが「三笘の1ミリ」だ

 日本代表がスペイン代表と対戦したグループリーグ第3節で、1-1で迎えた後半6分にMF三笘薫がゴールライン際から折り返したボールをMF田中碧が押し込んで日本が決勝点を奪った。これは三笘が折り返した時点でボールがラインを割っていたのではないかと大きな議論が巻き起こった。

 これはビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が確認した映像でボールはわずかにラインにかかっていることが判明しており、得点は正当なものとして認められたが、人間の目だけでは瞬時に判断できないミリ単位の判定によってVARの存在があらためて大きな注目を集めるきっかけとなった。サッカー界でのテクノロジーの進化を象徴する出来事でもあるだけに、今後も語り継がれる出来事になりそうだ。

 続いてはマテウ・ラオス主審によって監督やコーチも含めて計18枚のイエローカードが乱れ飛んだ準々決勝のアルゼンチン代表対オランダ代表の一戦。試合後にはアルゼンチンのキャプテンFWリオネル・メッシが「(W杯をさばくに相応しい)レベルに達していないレフェリーにゲームを担当させることはできない」と批判し、この試合を最後にマテウ・ラオス主審が帰国となったことも併せて大きな話題となった。

 3つ目のトピックはポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドのノーゴール判定。グループリーグ第2節のウルグアイ戦、後半9分に左サイドのMFブルーノ・フェルナンデスのクロスにロナウドが頭で合わせて得点が決まったかに見えたシーン。しかし、実際にはロナウドはボールに触っておらず、フェルナンデスのゴールとして記録された。

 今大会で史上初のW杯5大会連続ゴールの大記録を打ち立てたロナウドだったが、ペナルティーキック(PK)による1得点でW杯通算得点は8得点でストップ。わずか数ミリの差で、ポルトガルのレジェンドFWエウゼビオ氏が持つ同国のW杯最多得点記録(9得点)に肩を並べることができなかった。

 4つ目は韓国代表が、グループリーグ第2節のガーナ代表戦で終了間際に得たコーナーキックを蹴らせてもらえなかった判定。このラストチャンスが認められなかったことでパウロ・ベント監督は主審に猛抗議し、退場処分を受けたためにグループリーグ最終戦はベンチ入りができなかった。

 そして5つ目はグループリーグ第3節のフランス代表対チュニジア代表戦でのオフサイド判定。フランスがゴール前に柔らかいクロスを送り、これをフランスのFWランダル・コロ・ムアニとチュニジアのDFモンタサル・タルビが競り合う。下がりながらジャンプしたタルビが何とかヘディングで触ったボールのこぼれ球をフランスのFWアントワーヌ・グリーズマンが押し込んだが、VARの介入があり、オンフィールドレビューの末にクロスが入った時点でオフサイドポジションにいたグリーズマンがオフサイドの反則となり、ゴールが取り消された。

 タルビのプレーがオフサイドの条件を満たす「ディフレクション」にあたるのか「意図的なプレー」にあたるのかで判定が分かれる際どい場面だっただけに、やはり物議を醸すことになった。この試合、フランスはチュニジアに0-1で敗れた。(FOOTBALL ZONE編集部)