三笘が所属するブライトンが好調だ。W杯終了後も快進撃は続き17節終了時点で勝ち点27のリーグ8位。6位のリヴァプールとは勝ち点1差で、CL出場圏内の4位のマンチェスター・ユナイテッドまで勝ち点8差という好ポジションにつけている。

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三笘が先発起用されてからはアーセナル戦以外で確実に勝ち点を積み上げており、今やニューカッスルと並んでブライトンは今シーズンのプレミアリーグ台風の目となっており、BIG6の牙城を脅かす存在として注目を集めている。三笘が機能する攻撃サッカーは非常に魅力的で、今シーズンのゴール数は合計32点。これは4位マンチェスター・ユナイテッドの27点よりも多い。

「三笘を来年はウチのクラブで!」「なぜ我々は三笘を見つけられなかったんだ?」「三笘をどうしてブライトンは発見したのか?」今、ビッククラブのサポーター達は、三笘がブライトンの左サイドで縦横無尽の働きを見せつけるたびに、怨嗟と羨望の声をあげている。

16-17シーズンに初めてプレミアリーグに昇格したブライトンは、以降15位、17位、15位、16位と必死に残留に努めてきた典型的な中堅クラブだ。そして9位に位置した昨年を経て今やCL出場圏内の4位を狙うまでになった。

ブライトンは、サウジ資金を使った金満補強でCL圏内を目指すニューカッスルとは対照的なクラブ運営の戦略を採ってきた。いわゆる「ビッククラブが気づいていない安い選手を発掘し、育成し、そして高値でビッグクラブに売却し、その資金を使ってまた次の発掘選手を探す」という、中堅クラブの身の丈にあった理想型ともいえる運営手法だ。ブライトンは補強の上手さで今の地位を築いてきた。

ククレジャをヘタフェから1500万ポンドで獲得しチェルシーに6000万ポンドで売却(移籍)。代表クラスになったベン・ホワイトもアーセナルに高値で売却した。今シーズンは監督のグレアム・ポッターまでもがチェルシーに引き抜かれたが、ブライトンはそれでも好調さを維持している。ある意味引き抜かれるのに慣れているし、引き抜かれることを前提にクラブを運営している。

現在もブライトンは三笘を筆頭にカイセド(エクアドル代表)、マク・アリスタ(アルゼンチン代表)、トロサール(ベルギー代表)、ランプティ(ガーナ代表)や、マーチ、ファーガソンなど、ビッグクラブが虎視眈々と狙っている選手達が目白押しだ。

そんな彼らが躍動したのが5-1で勝利したFAカップのミドルスブラ戦だ。今年で142回を数えるFAカップは日本の「天皇杯」にあたる。いや、正確には日本がFAカップに倣って天皇杯を設定したという世界で最も歴史のあるカップ戦だ。実は三笘はこのカップ戦とも縁が深い。筑波大学時代にベガルタ仙台(当時J1)に勝利した天皇杯はジャイアントキリングとして話題を集めたが、この試合で三笘は50メートルのドリブル突破からのゴールを含み2得点をあげている。

相手の戦術やシステムが掴みにくいカップ戦は、局面を個の力で突破する三笘のようなプレーは大きな武器となる。リーグ戦の躍進ももちろんだが、ブライトンが、三笘が、FAカップでどこまで勝ち進んでどんな展開を呼び込むのかも大変興味深い。

イングランドではシーズン後半になるとリーグ戦、リーグカップ、FAカップなどで連戦が続いていく。カップ戦を勝ち進むにつれて日程は過密となり、CLを勝ち抜くクラブは、さらにCLという最重要マッチがこれに加わっていく。チームの層の厚さがモノを言う場面が多くなるこの時期、計算できる選手は一人でも多くベンチに置きたいはずで、ブライトンはそんなクラブの格好の標的となっているだろう。その中心は間違いなく三笘だ。

三笘を見出したブライトンの選手を見る目は本物だ。ピッチの中でも魅力的なサッカーをしているブライトンは、クラブの運営戦略でも魅力的な動きで注目を集めている。

(ABEMA/プレミアリーグ)

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