■“産みたい”という気持ちはあったが、お母さんの気持ちも理解したくて…

普通に生活が送れることは分かったものの、恋愛や結婚、特に子どもを持つことは諦めざるを得ないと感じたというメグミさん。それでも、当時の交際相手が悩みを受け止めてくれたことで前向きになることができ、約半年後には妊娠が発覚する。ところが相手の母親に話をしたところ、出産を遠回しに反対され、堕胎を決断することになった。
「感染が分かったのが2月で、妊娠が分かったのが7月。病気を受け止めることすらもできない中で妊娠が発覚したので、どうしようかということで頭がいっぱいで、孤独感もあった。それでも付き合っていた方とは結婚を考えていたし、彼のお母さんとも家族ぐるみで仲良くさせていただいていたので相談したところ、“大事な娘のように思っているけれど、息子も大事、これから先、うつってしまうかもしれない”と。“産みたい”という気持ちはあったが、お母さんの気持ちも理解したくて、一人でギリギリまで考えた結果、“父親がいないのはかわいそうだ”ということで、苦しかったが決断した」。
そこから少しずつ自分の病気と向き合うようになり、支援団体とも繋がった。さらに相手の母親からは、テレビ番組を見て、HIVについて正しい知識を得たと連絡があり、謝罪を受けたという。

新しいパートナーにも恵まれ、去年、結婚。そして医師に思い切って相談したのが、妊娠・出産についてだった。近年の研究では、やはり服薬によって一定期間、HIV量が抑えられていれば、コンドームなしでセックスをしても、相手に感染させないことが分かってきたということを知り、メグミさんも再び自然妊娠することになった。
それでも懸念したのが、「母子感染」の可能性だった。胎内での感染や、産道を通過する際、母親の血液に触れることによる感染。さらに母乳を与えることでも起こる可能性があるからだ。投薬治療や帝王切開による出産で、感染のリスクは1%以下に抑えられると聞いても、不安が拭いきれなかったと振り返る。

立川医師は「やはり、きちんと治療をしておくことが必要だ。妊娠後期に初めてHIV検査をした際に陽性が判明し、出産時までにウイルス量を抑えられきれなかった場合、母子感染が起きてしまう可能性が出てくる。また、母乳には抗体がたくさん入っているが、リンパ球もたくさん入っているために、HIVが隠れているという心配がある。ただし、ウイルス量を抑えてられていた母親であれば、授乳もできるのではないかという試みも始まっている」と説明した。
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