裁判で慰謝料請求

独身偽装
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「何か隠し事をしている」と感じたあおさんは相手のSNSのフォロワーをたどった。

「フォロワーである女性の投稿に“相手男性と娘”と思われる人が『2歳のお誕生日』などと一緒に写っている写真があり、既婚であると知った。その後電話して『もしかして結婚して子どももいる?』と聞くとあっさりというか観念した感じで『うん、結婚してるし子どももいる』と答えた」

 既に妊娠中期で中絶の判断もさらに難しくなる中、子どもの認知や養育費に関するやり取りと並行してあおさんは慰謝料を請求する訴訟を起こし、今週その判決が出た。

 東京地裁は「既婚者であることを隠していたことは貞操権の侵害に当たる」「通常の交際関係と変わらない行動をしていて性行為のみを目的とする関係であったとはいえない」と指摘。その上で「出産するか否かの判断は今後の人生に大きく影響し、正しい情報が与えられなかったという点は看過できない」として、慰謝料など88万円の支払いを命じた。


なぜ88万円なのか?

三輪記子弁護士
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 この判決に男女トラブルの問題に詳しい三輪記子弁護士は「貞操権侵害は数十万円〜100万円を超えるものもある、というくらいなので(今回は)認められた上での慰謝料の金額としては相当な範囲内だ。この判決では妊娠の(初期・中期という)状態はそこまで勘案されていない印象。金額面でもすごく考慮されたとは言えない印象だ。独身を偽装して『結婚する』と言ってお金をだまし取ったのであれば詐欺罪が成立し得る。それはよく言われる結婚詐欺だ。今回は財産ではなく貞操を奪ったが、貞操そのものを保護するような刑事罰は現状はない」と説明した。

 出産だけで約30万円。裁判にかかった費用や精神的な苦痛に対し慰謝料88万円という金額はあまりにショックだったという。

「弁護士費用を引いたらもっと低い。出産や子育てにかかったお金の何割にも満たない。向こうの生活は変わらないというのが、あまりに理不尽だ。子どもを実際に持ってすごく嬉しいことも幸せなこともいっぱいあるが一人で育てていくのは大変だ」(あおさん)


「独身偽装の被害者を不倫相手として扱わないで」

交際や婚姻の状況を詐称された割合
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 話し合いの結果、養育費は月5万円に。あおさんは「結婚している事実を知っていれば関係を持たなかった」と振り返る。

「SNSで『不倫』という書かれ方をしたり、『不倫相手』と言われるのが本当につらい。『独身偽装をやめてほしい』『独身偽装に気をつけよう』と伝えたいが、加えて『独身偽装の被害者を不倫相手として扱わないでほしい。詐欺であり、だまして性行為をする性加害の被害者だ』と周りに知ってほしい」
(『ABEMAヒルズ』より)

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