アニメ「薬屋のひとりごと(くすりやのひとりごと)」は、薬屋の少女・猫猫(まおまお)の活躍を描いた謎解きエンタテインメントです。2023年10月から2024年3月まで1期が、2025年1月から7月まで2期が放送されました。
原作は、日向夏氏が2011年から小説投稿サイト「小説家になろう」にて連載している作品をベースに、自ら加筆・修正をして出版したライトノベルです。2017年からは「月刊サンデーGX」(小学館)と「月刊ビッグガンガン」(スクウェア・エニックス)にて、それぞれ漫画化作品が連載されています。
この記事では、アニメ「薬屋のひとりごと」に登場する子昌(ししょう)を紹介します。子昌は上級妃の父にして、高官としても強い力を持つ人物です。子昌が起こした事件の目的や、その最後、演じる声優についても解説していきます。
目次
- 人気アニメ「薬屋のひとりごと」とは
- 「薬屋のひとりごと」子昌の基本情報!声優などのプロフィールを紹介
- 子昌の宮廷での役職は?先帝時代からの高官
- 女帝に取り入り、後宮を拡大した子昌の本当の目的は
- 子の一族が起こした謀反事件とは?子昌の最後
- 子昌が受け継いでいた「隠れ里の血」とは
- アニメ「薬屋のひとりごと」子昌のまとめ
人気アニメ「薬屋のひとりごと」とは
物語は人さらいにあった猫猫が、とある大国にある後宮の下女となったところから始まります。花街で薬屋をしていた猫猫は毒と薬に目がなく、後宮での出世には興味がありません。自分が薬師であることを伏せたまま、目立たないように年季明けを待っていました。
あるとき、帝の御子の不審死が続いているという噂を聞いた猫猫は、その原因に気づき、匿名で妃たちに知らせます。それが後宮を取り仕切る美貌の宦官・壬氏(じんし)の目に留まり、猫猫を帝の寵姫の毒見役に抜擢しました。その後、壬氏によって次から次へと持ち込まれる面倒事に眉をしかめながらも、猫猫は持ち前の好奇心と洞察力で事件を解決していきます。
「薬屋のひとりごと」子昌の基本情報!声優などのプロフィールを紹介
子昌は「薬屋のひとりごと」に登場する高官の1人です。子の一族は国の北側に位置する子北州を治める有力者です。子昌は子北州の王の娘婿にあたります。
子昌の基本情報【プロフィール】
子昌は穏やかそうに見えながら、食えない人物です。年齢や誕生日などの詳細は不明ですが、先帝の母親である女帝がいるころから宮廷に仕えて、娘が上級妃として入内していることから、それなりの年齢であると思われます。
子昌の基本情報【声優】
子昌の声を演じるのは、チョーさんです。以前は長島茂や長島雄一という芸名で活動していたチョーさんは、俳優としても活躍。NHK教育テレビ「いないいないばあっ!」ではワンワンの声優としてだけでなく、スーツアクターも務めています。
子昌以外の代表作には、「GTO」内山田ひろし役、「マッシュル-MASHLE-」レグロ・バーンデッド役などがあります。
第46話に登場した若い頃の子昌は、声優の井上剛 (いのうえ ごう)さんが担当しました。
子昌の宮廷での役職は?先帝時代からの高官
子昌は、宮廷で権勢を誇る重鎮の宰相です。歴史ある子の一族の長であり、先帝の母親である女帝に気に入られていたことから、帝も頭が上がりません。軍部が東にあるため、羅漢(らかん)を「東の狐」と呼ぶのに対して、腹黒い文官の子昌は「西の狸」と呼ばれていました。
上級妃・楼蘭は子昌の娘
阿多妃(あーどぅおひ)の後に入内して上級妃となった楼蘭(ろうらん)は、子昌の娘です。実家が裕福な楼蘭は、50人を超える従者を連れて入内し、衣装だけでなく、髪型や化粧まで毎日のように変えています。濃い化粧で隠された素顔は周囲に知られておらず、猫猫も仲良くなった子翠(しすい)と名乗る下女の正体が、楼蘭であることに気づきませんでした。
壬氏の暗殺未遂を起こした後、蘇りの薬を使って後宮を出た翠苓(すいれい)も子昌の娘であり、楼蘭の異母姉にあたります。
子昌の妻・神美(しぇんめい)も元上級妃
子昌の妻である神美は、先帝の上級妃でした。神美はもともと子昌と婚約していましたが、神美の祖父が奴隷交易を行っていたことで女帝に目をつけられ、半ば人質として入内することになります。その後、子昌は政治により女帝の信頼を得て、神美を下賜されました。神美を下賜される前に娶った妻とのあいだに生まれていた子が翠苓で、神美との間に生まれた子が楼蘭です。
女帝に取り入り、後宮を拡大した子昌の本当の目的は
子の一族が行っていた奴隷交易に代わる公共事業として、子昌が女帝に進言した施策が「後宮の拡大」です。宮の建設だけでなく、奴隷にされそうな女性たちを後宮女官という名目で保護できるこの政策により、子昌は女帝の信頼を得ることに成功します。
こうして女帝に取り入った子昌の本当の目的は、前述したとおり、神美を下賜によって取り戻すことでした。子昌の献策はその手段に過ぎなかったものの、結果的に現帝の代で奴隷制度の廃止がスムーズに進められた功績にもなっています。
子の一族が起こした謀反事件とは?子昌の最後
子の一族は、穀物の値を吊り上げて生じる差額を横領し、飛発(フェイファ)と呼ばれる銃を密かに生産していました。また、後宮内で起こった壬氏の暗殺未遂事件は、神美が翠苓に命じて行わせたものです。上級妃である楼蘭が後宮から抜け出したことも、極刑に値する大罪です。これら一連の出来事は、すべて子一族の謀反ととらえられました。
楼蘭と翠苓が猫猫をつれて後宮から抜け出し、それと同時に子昌も姿を消しました。横領金と鉄の不審な流れを調べた羅半(らはん)は、それらが子北州に集まっていることを突き止め、子昌や子の一族の謀反が発覚したのです。
謀反の結末と子昌の最後
羅漢(らかん)の作戦で禁軍が討伐に向かい、子の一族の謀反は制圧され、囚われていた猫猫も救出されました。それまで皇弟であることを隠していた壬氏は、このときに禁軍を率いたことで、周囲に身分を明かすことになりました。
桜蘭から最後の責任を取るように言われた子昌は、砦へ踏み込んだ壬氏の前に姿を表し、最後は部下たちに討ち取られます。壬氏はそのときの子昌の姿に、芝居めいたものを感じながらも、問い詰める暇はありませんでした。
その後、壬氏に追い詰められた神美は飛発の暴発で倒れ、楼蘭は胸に弾を受けて砦の屋上から雪の中に転落します。その後、楼蘭は捜索されたにもかかわらず、見つかりませんでした。しかし、その後“玉藻(たまも)”と名乗る楼蘭らしき人物が描かれているので、生存しているの可能性はあります。
謀反の黒幕は、子昌の妻・神美?
子一族が起こした謀反の黒幕は、子昌の妻である神美です。神美の持つ国や宮廷、皇族への強い恨みが、謀反へと走らせました。
神美が国を恨むようになった発端は、先帝の時代に遡ります。神美は子昌と婚約していたにもかかわらず、女帝の采配により入内を強いられました。祖父の行っていた奴隷交易の件を知らなかった神美にとっては、皇族の横暴により無理やり入内させられ、幼女趣味の先帝には振り向かれないまま、後宮に20年も留め置かれたことになります。
さらに先帝は妃となった神美ではなく、まだ幼い神美の侍女(=大宝)を気に入ります。侍女は先帝の娘を産みますが、先帝が自分の子と認めなかったため、娘は子北州で匿われます。後に侍女の娘は子昌の妻となり、子(=翠苓)まで成していました。
子昌は神美を一途に想い続けていました。子昌は女帝に取り入ると同時に、後宮に秘密の抜け穴を作り、一緒に逃げようと神美に訴えます。このように、自分の地位を投げ出して神美を連れ戻そうとした子昌ですが、神美はそれを拒絶。後宮にいるあいだに子一族の長であった父から家督を継ぎ、前述した侍女の娘を妻としてめとった子昌に対し、神美は裏切られたという思いしかありませんでした。ちなみに、猫猫が翠苓たちに連れ出された抜け道は、そのときのものです。
神美は、先帝の若いころに似ていて、しかも自分より美しい壬氏に恨みをつのらせ、翠苓を後宮に送り込んで命を狙います。また、桜蘭を入内させて王母の座を狙わせつつ、砦では戦の準備を進めていました。
子昌は本当に悪役だった?神美の謀反を止めなかった子昌の願いとは
子昌に下賜され、後宮から戻った神美は、数々の恨みから性格が歪みました。しかも一族の中では強い力を持っているため、神美が元妻(翠苓の母)や翠苓をいじめ、酒や男娼遊びに興じても、婿養子である子昌はそれを咎められません。
子昌が翠苓の母をめとったのは、先帝の頼みで断れなかったせいですが、神美以外の女性と先に結婚した引け目もあります。宮廷では狡猾な狸爺と呼ばれていた子昌ですが、本来はそんな性格でもなく、娘の翠苓を守れないことにも落胆していました。
その一方、子昌が神美の謀反を止めなかった理由には、一族や国の腐敗を憂いていたこともあります。賄賂や横領を繰り返すものばかりを神美が側に置いたことで、子昌の存在は子一族だけでなく、国の腐敗も一手に集める必要悪になっていました。謀反を起こして一族が粛清されることで、結果的に宮廷の膿はかなり吐き出されました。子昌の最期に壬氏が感じ取った違和感は、この隠された真意が芝居めいて現れたせいだと思われます。
子昌が受け継いでいた「隠れ里の血」とは
初代皇帝の母である王母は、遠い地から流れてきた民でした。自らの血を皇族として残したいと考えた王母は、「赤と緑の見分けのつかない目」を持つものが多い、一族の性質を継ぐものが王になるシステムを作り上げます。
王母の一族は、遠い地から流れてきたときに2つに分かれ、一方は王都を定めて国を作り、もう一方は北の地に根付きました。北の地に根付いた一族の流れを受け継ぐのが子昌です。子昌も赤と緑の見分けがつかず、桜蘭もその性質を受け継いでいます。
桜蘭は、神美が子昌の子である自分を生んだのは、王母の流れを汲む子が欲しかっただけだと作中で語っています。神美は、王母の血を引く桜蘭を入内させ、次の王母にしようと画策したのでした。
▶王母の血を持つものを選ぶ「選択の廟」 31話
▶子昌は「王母の血」を持つ? 40話
▶北の「隠された里」でのお祭り 43話
▶子昌と神美の結婚について楼蘭が語る 45話
アニメ「薬屋のひとりごと」子昌のまとめ
子昌は上級妃である桜蘭の父親にして、宮廷の高官を務める子北州の領主でもあります。宮廷では腹黒い狸と称され、最終的に子一族の謀反の元凶として誅されました。
しかし、実際は婚約者を取り戻すために政治力を駆使して奔走し、身内と宮廷の膿を一掃するために悪を装っていました。原作小説4巻に収録されている子一族の謀反のエピソードでは、猫猫と壬氏の関係にも大きな変化をもたらす重大な事件でもあります。
(C)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会
この記事の画像一覧アニメ『薬屋のひとりごと』放送回一覧(動画リンクつき)
話数 | サブタイトル(タップで動画へ) | 見どころ |
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1 | 猫猫 | 猫猫の正義感が幼子を救う |
2 | 無愛想な薬師 | 媚薬の出来はバッチリ!? |
3 | 幽霊騒動 | 奇行の裏の真実に気づく猫猫 |
4 | 恫喝 | ガチギレ猫猫のマジビンタ! |
5 | 暗躍 | そばかすを落とした猫猫の顔 |
6 | 園遊会 | 「これ、毒です」猫猫が本領発揮 |
7 | 里帰り | 高順の前で素が出てしまう壬氏 |
8 | 麦稈 | 「一夜の対価」に壬氏、硬直 |
9 | 自殺か他殺か | 猫猫の死生観、壬氏の懊悩 |
10 | 蜂蜜 | 変態に追い詰められる猫猫 |
11 | 二つを一つに | 阿多妃の過去が明らかに |
12 | 宦官と妓女 | 猫猫、指先だけならお触りOK |
13 | 外廷勤務 | 官女とのドロドロバトル |
14 | 新しい淑妃 | 「女の園の秘術」を教授 |
15 | 膾 | 曲者な軍師・羅漢が来た! |
16 | 鉛 | 鍵の開かないタンスの謎 |
17 | 街歩き | 妓女の価値を下げる方法 |
18 | 羅漢 | 猫猫と羅漢の関係が明らかに |
19 | 偶然か必然か | 命を守るため、猫猫が走る |
20 | 曼荼羅華 | 壬氏が飲む薬の効果 |
21 | 身請け作戦 | 隙あらば嫉妬する壬氏 |
22 | 青い薔薇 | 羅漢の目に映る人々 |
23 | 鳳仙花と片喰 | 妓女・鳳仙と羅漢の悲恋 |
24 | 壬氏と猫猫 | 壬氏の頭突きを食らう猫猫 |
25 | 猫猫と毛毛 | 壬氏、恍惚の表情でネコ吸い |
26 | 隊商 | 小蘭、猫猫にムニムニほおずり |
27 | 冬人夏草 | 亡くなった中級妃と毒きのこの謎 |
28 | 鏡 | 絶世の美女の正体はまさかのやり手婆 |
29 | 月精 | 闇に浮かび上がった“美女”壬氏 |
30 | みたび、水晶宮 | 梨花妃のビンタに深い理由 |
31 | 選択の廟 | 皇帝の爆弾発言に焦る壬氏 |
32 | 皇太后 | 皇太后の“呪い”発言が怖すぎる |
33 | 先帝 | 高順にあやされるギャン泣き幼少壬氏 |
34 | 怪談 | 本気のガチホラー回 |
35 | 狩り | 猫猫と壬氏、襲撃からのずぶ濡れ急接近 |
36 | 華瑞月 | 壬氏に壬氏の壬氏があった |
37 | 湯殿 | 猫猫たちの楽しいお風呂回 |
38 | 踊る幽霊 | 壬氏が「猫猫」と呼ぶ |
39 | 氷菓 | 壬氏、猫猫に顎クイ |
40 | 巣食う悪意 | 生きていた翠苓 |
41 | 狐の里 | 猫猫の名推理に子翠は爆笑 |
42 | 鬼灯 | 激おこ壬氏 |
43 | 祭り | 猫猫の超オタク早口 |
44 | 砦 | 楼蘭妃の正体が判明 |
45 | 蟇盆 | たくましすぎる猫猫 |
46 | 禁軍 | 猫猫と壬氏、久々の再会 |
47 | 子の一族 | 若い頃の子昌&神美がエモい |
48 | はじまり | 猫猫と壬氏、それぞれの立場に |