「女性の愛情曲線」
【映像】出産直後にダダ下がり…夫への愛情曲線
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 3月5日に開催された、次世代の女性リーダー“発掘系”アワード「WE CHANGE AWARDS」。さまざまな女性リーダーがメディアにフィーチャーされる中、このアワードがこだわったのは「本質的な変化をもたらす」企業や個人を表彰することだった。

【映像】出産直後にダダ下がり…夫への愛情曲線

 大賞を受賞したのは、九州地域の製造業という男性中心の業態で、男性育休取得率を、たった2年で3%から91%に、直近の数字では95%まで改善した株式会社タカギ・松田理恵さんである。

たった2年で爆増!男性育休3%→90%超達成の“育トレ制度”とは?

株式会社タカギ・松田理恵さん
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「『社会が変わるのではなく、自分が変えていく。周りを巻き込んでいく』というところの気持ちは大切にしながら、軸に持っておきながら今後も活動を続けていきたい」(株式会社タカギ・松田理恵さん、以下同)

 男性の育休取得率を向上させる制度を作るため、経営の説得に松田さんが使ったのが、ワークライフバランスのコンサルタント会社が使っていた「女性の愛情曲線」である。女性への調査をもとに、ライフステージごとの愛情の配分を示したグラフで、夫や仕事、趣味まで、あらゆる愛情が出産直後に大幅に下落していることがわかる。

「その後上昇するグループと低迷し続けるグループがあるが、夫婦で感情の共有をしているかどうかというところで、子どもを産んだ後に『子どもかわいいね』『でもやっぱり夜泣きとか大変だよね』『でもかわいいよね』って、この感情の共有ができたかできていないかで大きく変わってくる。そこをするためには男性がちゃんと育休をとって、しっかりと育児に向き合う、奥様と育児をするという時間を会社として提供するのがいいのではないか」

 なぜ男性は育休を取得しなかったのだろうか?

「男性の育休対象者になぜ取らないのかとヒアリングしたところ、評価と収入のところがネックだった。有給にしてしまえば、評価というのは賞与の評価だが、有給だったら(計算上)賞与に関係ないので賞与の計算から控除されることがなくなる。そこがまずクリアできた。もちろん収入もまるっと出るのでこの2つがクリアできたところで一気に取得率が伸びた」

 松田さんを中心に、男性社員は産後8週間以内に20日間、年次有給休暇とは別に特別休暇が付与される「育児トレーニング制度」を設立。社内の意識改革も進み、その結果、この育トレ制度を含む男性の育休取得率が95%まで飛躍的に伸びた。

 この改革推進の背景にあったのが、今の会社が3社目となる松田さんの実体験だった。

「上場会社にいたが、それまで営業の女性が育休を取って帰ってきた人が一人もいなかった。戻ってからもう本当に大変で、夫が設計士だが朝帰ってくる。本当にワンオペで仕事をしていたので、もう二度と戻りたくないレベルのしんどさだった」

 そうした育児や家事の実態を理解していない上司からは「お前んとこの子どもは本当に弱いな」「本当に弱い子やな」と言われたという。

 性別役割分業意識が根本にある居心地の悪さを、山ほど経験したという松田さん。そんな状況でも、1社目では産後の時短勤務中に全社契約高トップ、2人目の育休復帰後には女性初の課長昇進など、意地で結果を出してきたと振り返る。

 働き手が休んでしまうと、会社や同僚に負担がかかってしまうイメージが根強く残る育休制度。松田さんの会社では、育トレ制度の導入によって、働きやすい職場づくりが進んでいるという。

「ビジネス面でどれだけ売上が伸びたとか、利益が伸びたとかというのは、はっきりした相関関係とか全く言えない。もちろん売上も利益も順調に伸びてはいるが、特にわかるのは採用面接の時とかに『育トレの取得率が伸びました』という記事を見てくださって来てくださる方が増えてきている。最終面接私が担当するが『記事見ました』とか言ってくれるので、そういう会社のブランディングみたいなところにはお役に立てているのかな」

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