脆くなった実物に、極力触れることなく、慎重に進められる作業だ。持ち主が書いたであろうメモは、筆圧まで再現した。
「鉛筆の線をなぞりながら、この子はグっと力を入れて鉛筆で書いているのがよくわかったので、すごく元気な男の子だったのかなとか、戦時中ではあれ喜びもあり苦しみもあり、友達とか家族とかと幸せな瞬間があったんだということを、私はレプリカを作っていて少し見せてもらえる」(和久田さん)
その状態から、館内には展示されていない遺品だ。レプリカを作り、展示することで、遺品の物語は初めて私たちの前に姿を現す。
国境を越えて訴えかける“被爆者の伝言”
