■国境を越えて訴えかける“被爆者の伝言”
オーストラリア・パースで行われた「原爆展」で涙する見学者
2025年5月、オーストラリア西部の都市パースで、ホームズ・ア・コート・ギャラリー学芸員のレティシア ウィルソンさんは、ある箱を見せてくれた。
箱に入っていたのは、広島から届いた「被爆遺品」だ。3日後に迫る、「原爆展」の準備が行われていた。ウィルソンさんは「とても慎重に準備しています。これらの資料は世界中を移動するので、きちんと管理して、この状態を保たなければいけない」と語る。
毎年、世界のどこかで開催される「原爆展」は、「原爆の被害」について知る、海外では数少ない機会となっている。広島から駆け付けた被爆者も、自身の体験を証言した。
被爆者の八幡照子さんは「ひとたび戦争が始まれば、私たちは加害者にも被害者にもなるのです。私がやるべきことは、原爆の真実を世界に伝え、警鐘を鳴らし続けることだけだ」と訴えた。
今回、展示された遺品はおよそ20点。懐中時計、下駄、定期入れ、弁当箱などが並ぶ。和久田さんが作ったレプリカの遺品も並んでいる。
見学に訪れた現地の人たちの中には涙する人も
