■劣化が進む遺品の再現
13歳で亡くなった中学生のカードケース(遺品)
2024年冬、和久田さんの姿は、広島の原爆資料館にあった。製作していたのは、焼け焦げて原型をとどめていない「カードケース」だ。中には数枚のメモが入っていた。建物疎開中に亡くなった13歳の男子中学生の遺品だった。
和久田さんは「今回、実物が非常に脆弱なので(アトリエがある)京都まではお借りできないということで、通いで何回か、実物と照合しながら進めている」と説明する。劣化が進み、少し動かしただけで、破片となり崩れてしまう状態だった。
「これがパッと広げてどういう作りになっているかを調べられたら、もっと手早く簡単に作業ができたと思うんだけど、横から眺めてどういう作りになっているかを想像して、試作してはじめて、ここが違うとわかる感じだったので」と製作の難しさを語る。
持ち主が書いたであろうメモは筆圧まで再現
