■演劇によるアプローチ
演劇公演「ダンデライオンズ」2022年6月
一方で、千田さんはある課題も感じていた。「抑留に関心がある方は来てくださっていたんですけど、どうしても限られてしまう。絵画の展覧会以外の表現でできないかなと思って」。
千田さんが話を持ち掛けたのは、10数年来の友人で、四国学院大学で演劇を教える仙石桂子さんだ。千田さんと川田さんをモチーフにした演劇を大学生らと一緒に作ることになった。
劇団も主催する仙石さんは、精神障害がある人の実体験を戯曲にし、就労支援施設の利用者を交えて公演するなど、「生きづらさ」をテーマにした作品を手掛けている。
仙石さんは「学生たちは、戦争ということが今世界の中では起きているけれども、ちょっと目を背けたくなったりとか、知ろうとすることがすごく少なくなっている」と現状を語る。
演じる学生や劇団員の多くは、祖父母も戦争を経験していない世代。2025年12月の公演に向け、およそ1年半の制作期間をとり、抑留者の遺族や語り部らを招いた座談会をあわせて4回企画した。
四国学院大学4年の原麻名実さんは「広島県出身で、原爆のことについては小学校からずっと授業などで勉強してはいたが、シベリア抑留を耳にしたのは最近です」と話す。また、同大学4年の池内怜士さんは「おじいちゃん、おばあちゃんはまだ60代で、親族から戦争などの話はあまり聞いたことがなくて。長いリサーチの時間をかけてやっていくことが大事だと思う」と語る。
川田さんが自身の経験を「語れなかった時間」に注目
