■国家の防壁として扱われる島、住民の未来は
8月27日、日米共同訓練でアメリカ軍がロケット砲を与那国島に搬入する計画が、県内の新聞で報じられた。敵の軍艦を長距離から攻撃する模擬訓練を行うという。住民からは「説明会を開いてください」「合同訓練反対ですよ」と声があがる。
9月5日、防衛省の出先機関が訓練内容を説明しに島を訪れた。報道された攻撃用の武器は持ち込まないという。
「町長選の結果を踏まえて(見送りの判断)と言いづらい理由は?」(記者)
「理由といいますか、様々な状況を総合的に検討したというところでございます」(防衛局担当者)
「町民の声が防衛省に届いたと思う」(上地町長)
一方の上地町長。訓練の縮小に安堵していた。「町長になったばかりで、最初から敵対するわけにいかないという立場が(防衛省側には)あったとは思うけれど、よくわかりません。今後どうなるか」。
「(Q.(防衛省に)意見を聞いてもらえない時は?)その時はその時です。その時はその時で対処します」
町長選を終えた田里氏はある場所を訪れた。与那国町イベント広場だ。与那国島が市町村合併に揺れていた2004年10月、町民大会が開かれ、島の行く末に激論が交わされた。そこから住民投票での合併の拒否と自立ビジョンの策定に向かっていったという。議員活動、そして町長選挙の原動力になった自立ビジョンは、ここで生まれた。
「個人的に民間主導で地域外交を進めながら行く必要もある」(田里氏)
与那国島。国家には、そして国民には国境と隣り合うこの島がどのように見えるのか。
「仮に台湾有事で中国が攻める時、(台湾を)東から攻めるという時には、日本が戦域になる。まさに南西諸島・与那国が戦域になる。しっかり備えないといけない。攻撃側が何が一番有利かというと、攻撃方向を自分で選べる」(佐藤氏)
「台湾有事の脅威がまずあって、下から積み上げられたものというよりかは、最初にアメリカの戦略があり、それを正当化させるためにいろいろなストーリーが作られている面もあることも冷静に見ていく必要がある。政府が作る脅威の物語にどんどんと踊らされるだけになってしまう」(布施氏)
「いろいろな国の政策をやっても変わらない。もう限界。新たな島が持っている空気、土地、地政学、文化、伝統、自然、水、それを上手く使った自立を考えないといけない。地域・近隣国との関係も地域外交は認められているので、それを駆使し、お互いウィンウィンの中で繁栄、共存していく必要がある。絶対これから先も引き継がないといけない。これこそ国境の政治家の理念」(田里氏)
国家が引いた国境に隣り合う地は、外敵に対する防壁として扱われている。そこに向けられるまなざしに、ここに根を張って生きる人たちの姿は入っているのだろうか。
(琉球朝日放送制作 テレメンタリー『国境に立たされて~与那国島のいま~』より)
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