■広がるヘイトと立ちはだかる「偏見の壁」
2025年9月、オスマンさんの元を訪ねた。「(Q.日本の夏はどう?)とってもとっても暑い。とってもとってもとっても暑い。冬のほうが夏よりもまだましだったんですね」と笑う。
宮崎で左官の仕事を学んで1年、ガーナ人のオスマンさんは現場になじんでいた。「ここがないでしょ。こいつもないでしょ、目地。この分開けなきゃいかん」とやり取りし、ため息をつきつつ笑い合う。職人らは「日本語がちょっとね、まだ…。仕事に関してはちゃんと真面目」「自分が好きな作業とかはもうすごい。休憩とかしないでやったり」と語る。
マイペースに今日も働くオスマンさん。一方、日本ではいま、アフリカからの人材受け入れに反対する声が強まりだしている。きっかけはJICAの「アフリカ・ホームタウン認定」。「日本が移民政策を進めようとしている」といった誤った情報とともに、アフリカへのヘイト発言がSNSを中心に広がっている。
実は、オスマンさんが来たときも、報道を見て非難する人たちがいたという。
「(匿名の電話で)『なんで奴隷の国から黒人入れるんだ』『覚せい剤とか持ち込んだらどうするんだ』という。なんでそういうことを言ってくるのか。外国人がいないと何もできないわけじゃないですか実際」(江田さん)
オスマンさん自身はどう思っているのだろうか。
「それは人間観の話。アフリカ人に可能性を見出す人は受け入れてくれるでしょう。互いにどう連携・協力していくかの問題です」
「アフリカ人は多くの問題を抱えている。信頼の問題もある。もし信頼関係を築けなければ、一緒に働くのは難しいだろう」
2024年末時点で日本で働くアフリカ人技能実習生、1人。特定技能、17人。いまは、まだ──。
1万キロの距離を縮め、人手不足と雇用不足という互いの悩みを埋めあえるのか。受け入れる私たちも、試されている。
「私の好きな日本語は『お疲れ様でした』。『よく働いてくれてありがとう』という言葉。誰かがあなたのために働いたときか、あなたが誰かのために働いたときに使う。相手に『良い仕事をした』と感じさせるねぎらいの言葉。だから好きです」(オスマンさん)
(鹿児島放送制作 テレメンタリー『行き着いてアフリカ』より)
※年齢は取材当時

