2日、カタール・ワールドカップ(W杯)出場を決めた日本代表は、本大会までの残り期間での数少ない実戦の場であるキリンチャレンジカップ2022のパラグアイ代表戦を戦う。
7大会連続7度目のW杯出場を懸けて挑んだアジア最終予選。出だしで躓くという苦しい状況の中、しっかりと勝ち点を重ねていくと、2月24日に行われたアウェイでのオーストラリア代表戦で勝利。見事にW杯の切符を掴んだ。
その後のベトナム代表戦では1-1のドローと結果を残せず、2位でグループを通過することとなった。
その日本代表は、組み合わせ抽選の結果、ドイツ代表、スペイン代表と同居。近年のW杯で優勝している強豪国との対戦が決定した。
6月の4試合では、今回のパラグアイ代表戦の他、FIFAランキング1位のブラジル代表戦、その後にW杯に出場するガーナ代表、そしてチリ代表またはチュニジア代表との試合が待っている。
大会前には9月の代表活動しかなく、今回の4試合は非常に大事な試合となるが、まずは結果を求めながらチームを成長させたいところだ。
◆サバイバルがスタート
いよいよW杯に向けた準備がスタートする中、今回は28名を招集。3月には招集されていない堂安律(PSV)や鎌田大地(フランクフルト)といった、クラブで結果を残しているメンバーも招集している。
初招集となったのは、今シーズンからヨーロッパに渡り、予定よりかなり前倒しでファーストチームに帯同しブンデスリーガでレギュラーとしてプレーした伊藤洋輝(シュツットガルト)のみ。大枠のメンバーは決まっていると考えて良い。
この中からで考えても、5名が脱落することになるわけだが、この4試合である程度の形を作り上げていく必要もある。サバイバルであると同時に、チームとしてのブラッシュアップもしっかりと図りたいところ。また、アジアの戦いとは違う舞台でどこまで通用するかを見極めなければいけないというミッションもある。
前日会見で森保一監督は「アジアの戦いから世界に変えていかなければいけない」とコメント。また「できるだけ多くの選手を使いながら、システム等々、状況によってですが試して行きたい」と意気込んでおり、チャレンジしていくことを語った。
まずは4連戦の初戦。パラグアイを相手にしっかりと戦えるのかを見せて欲しいところだ。
◆W杯逃すも常連国のパラグアイ
カタールW杯に向けた南米予選では8位に終わり、出場はならなかったパラグアイ。それでも、W杯の常連国であり、2010年の南アフリカ大会ではラウンド16で対戦し、PK戦の末に敗れた相手でもある。
直近では2019年9月にキリンチャレンジカップで対戦し、2-0で勝利した相手。ただ、メンバーも変わっている状況もあり、4年後のW杯に向けた初戦という位置付けだ。
ギジェルモ・バロスケロット監督は前日会見で「全員が新しいプロセス、夢のスタートを担っていると自覚して臨むべき」とコメント。「非常に魅力的な試合になるのではないか」と試合を予想した。
パラグアイと言えば、堅守が武器のチームであり、個の能力に長けたアタッカー陣が少ないチャンスを生かすというイメージだ。
「日本代表の守備のスペースを我々がいかに使っていけるかがポイント」とバロスケロット監督は語ったが、隙を見せれば簡単にやられる相手。アジアでは味わえない強さを持っているだけに、良いテストとなりそうだ。
◆予想スタメン[4-3-3]
GK:シュミット=ダニエル
DF:山根視来、吉田麻也、伊藤洋輝、中山雄太
MF:原口元気、遠藤航、鎌田大地
FW:堂安律、古橋亨梧、三笘薫
監督:森保一
今回は28名を招集しているが、守田英正(サンタ・クララ)、冨安健洋(アーセナル)は前日練習も別メニューとなっており、起用は難しいだろう。
また、南野拓実(リバプール)、柴崎岳(レガネス)は前日に合流したばかり、菅原由勢(AZ)はケガの検査で欠席という状況。この5名は計算に入れられないだろう。
その中で、森保監督は「ブラジル戦にこれまでの最終予選を戦ってきた軸となる選手を起用しようと思っています」とコメント。6日に行われるブラジル戦で主軸選手を起用することを示唆しており、今回はあまり出番がない選手を起用すると予想する。
システムに関しては「最終予選の終盤にやってきた形を軸としながら、システムを変えていくタイミングがあれば変えていくと考えています」とし、[4-3-3]とその他のシステムの併用が考えられるが、通常とは違うメンバーで[4-3-3]をトライすると考える。
守護神はGKシュミット・ダニエル(シント=トロイデン)と予想する。これまで権田修一の出番が多かった中、最後のベトナム戦は川島永嗣(ストラスブール)が起用された。
今回は久々の出番となるシュミット・ダニエルがプレーし、権田はブラジル戦という予想だ。
最終ラインは、右サイドバックは山根視来(川崎フロンターレ)が入り、センターバックの一角は吉田麻也(サンプドリア)が入ると見る。その相棒には、初招集の伊藤洋輝(シュツットガルト)と予想。左利きという点では板倉滉(シャルケ)も考えられるが、冨安の状態が不透明なことに加え、右サイドバックで起用するというオプションもあり得るため、ブラジル戦に板倉が出ると予想。吉田の隣で伊藤を試すと考える。また、左サイドバックには中山雄太(ズヴォレ)が入ると予想した。
そして注目の中盤だが、アンカーには遠藤航(シュツットガルト)が入ると予想。他の選手のコンディションを考えても遠藤が適任となる。そしてインサイドハーフには、原口元気(ウニオン・ベルリン)と鎌田大地(フランクフルト)が入ると予想する。今シーズンはクラブで結果を残した両選手。システムの兼ね合いもあり、代表では出番が限定されている中で、攻撃面では田中碧(デュッセルドルフ)や守田よりは秀でている状況。違った形の戦いが見られることを期待したい。
そして3トップだが、右には堂安律(PSV)、左には三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)が入ると予想する。久保建英(マジョルカ)は5月30日のトレーニングで足首を痛めており、すでにトレーニングには復帰しているが、堂安と予想する。左はコンディション面を考えても三笘がベトナム戦に続いて先発すると予想する。
1トップに関しては、様々な選択肢が考えられる中で古橋亨梧(セルティック)を予想する。ケガの影響もあり今年に入って初招集となった古橋。クラブではチーム内得点王に輝き、リーグ優勝に大きく貢献。プレーオフでも結果を残しており、調子は良い。エース大迫勇也(ヴィッセル神戸)が今回は不在だが、その中で結果を残せるか。1年ぶりの代表でのゴールにも期待したいところだ。
テストと結果を求める今回のパラグアイ戦。親善試合ではあるが、しっかりと結果も求めたい一戦は、2日の19時にキックオフを迎える。