日本代表次第だ

チュニジア代表に完封負けを喫してしまった日本代表。ブラジルのような格上には厳しくともパラグアイやガーナのような中堅国には勝てるというのがチュニジア戦前の日本代表への評価であったが、日本を分析しコンディションのよかったチュニジアには完敗を喫しており、評価を改める必要が出てきた。

ブラジルメディア『Globo』は日本が勝利したパラグアイとガーナにはリズムがなく、スパーリング相手にしかならないため負けることはないとし、日本が敗れたチュニジアこそが真の挑戦者だったと6月の4連戦を振り返っている。

チュニジア代表は前述した2カ国と比べ格段に歯ごたえがあるチームで、試合後にはチュニジア代表監督であるジャレル・カドリは「我々は研究して試合に臨んだ。日本はプレイが速く、特にサイド攻撃が上手いため、その対応のための練習を積んできた。日本は攻撃の深さもあるが、時間が経つにつれてスペースができるので、そこを突くことを狙った」としっかりと事前準備を行いそれがハマったとコメントしている。実際に日本の攻撃の軸である三笘薫のサイド攻撃は封じられ、前掛かりになった際にできた後方のスペースを突かれ失点している。日本のイージーミスではあったが、チュニジアとしては事前に練った策で白星を掴んだ。

負けはしたがすべて悪いわけではなく、同紙はパラグアイやガーナのようなほとんど脅威のない相手に勝つよりも、ブラジルやチュニジアのように真剣にプレイする相手に負けたことは大きな価値があると主張している。

例えば攻撃でのアイデアのなさを露呈することになったが、これは以前からの課題であり、今一度真剣に向き合うことができる。今までは三笘や伊東純也の個での攻撃に頼っており、それでアジア最終予選やパラグアイ、ガーナからはゴールを奪えている。しかし真剣に戦ったブラジルやチュニジアにはゴールどころか枠内シュートゼロに抑えられる始末であり、この深刻さは改善につながるはずだ。いっそのことボール保持を捨てて堅守速攻に切り替えるのもありで、選択肢はいくつもある。鎌田大地や久保建英と攻撃にアクセントを加えられる選手は揃っており、攻撃が整備されれば威力は何倍にもなる。

守備面ではミスが目立った吉田麻也のパフォーマンス低下を指摘している。所属クラブでのプレイタイム減少が主な要因としており、次の移籍市場で出場機会を得られるチームに移籍しなければ本戦でのスタメンは難しいかもしれない。板倉滉や冨安健洋と次世代のセンターバックはすでに育っており、このタイミングで完全に世代交代を進めるのも悪くないだろう。

価値ある敗戦とブラジルメディアは評しているが、そこで改善点をあぶり出し次のゲームに生かせるかは日本代表次第だ。残りの期間は短く、森保一監督の手腕に期待したい。