【識者コラム】W杯グループリーグで輝きを放った7人の若手をピックアップ

 カタール・ワールドカップ(W杯)はノックアウトステージに突入。ますます白熱するなか、グループリーグで輝きを放った7人のヤングタレントを筆者の目線でピックアップした。今後も注目してもらえるように現時点で勝ち上がっているチームから選出。大会前からスター候補として注目を集めたブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールとスペイン代表MFペドリは“殿堂入り”で対象外にしている。

■DFヨシュコ・グヴァルディオル(クロアチア代表/ライプツィヒ/20歳)

 左利きのセンターバックで、格闘家のような体格のとおりデュエルに強い。守備面の貢献もさることながら、サイドバックでもプレーできる攻撃性能を備える。経験豊富なDFデヤン・ロヴレンとセンターバックのコンビを組むが、高いリーダーシップでディフェンス全体をオーガナイズする。日本代表戦の前日会見では4人目のプレーヤーとして、ズラトコ・ダリッチ監督と登壇し堂々とコメントしていた。現在ドイツのライプツィヒ所属だが、プレミアリーグのメガクラブ移籍が秒読みとなっている。

■FWフリアン・アルバレス(アルゼンチン代表/マンチェスター・シティ/22歳)

 非凡なスピードと攻撃センスを持つ。4-4-2ではFWリオネル・メッシと2トップを組むが、ラウンド16のオーストラリア代表戦ではメッシを“ゼロトップ”とした4-3-3の右ウイングとして躍動。GKマシュー・ライアンからボールを奪う形で無人のゴールに流し込み、鮮やかなターンから今大会2ゴール目を決めた。うまいうえに抜け目がなく、ライバルであるFWラウタロ・マルティネスとも違った特長がある。

■MFガビ(スペイン代表/FCバルセロナ/18歳)

 4-3-3の右インサイドハーフからパスワークに関わるが、フリーでボールを持てばドリブルでペナルティーエリア内に入り込む。日本代表DF吉田麻也もMFペドリと合わせて「賢い」と語るように、周りの流れを見ながら効果的なプレーを繰り出せる。W杯デビュー戦となったコスタリカ代表戦では初ゴールをマーク。敗れた日本戦でも右サイドで先制点の起点になるなど存在感あるプレーを見せた。アンダルシアの出身ながらバルセロナのカンテラーノとしても期待を背負っている。

■FWコーディ・ガクポ(オランダ代表/PSV/23歳)

 グループリーグで3試合連続ゴール。ラウンド16のアメリカ代表戦では得点こそなかったが、鋭い中央突破の起点としてFWメンフィス・デパイの先制ゴールに関与した。スケール感のある異色のセカンドアタッカーで、チャンスメイクとフィニッシュの両面で決定的な存在になれる。193センチの長身ながらCKなどのキッカーも担う。日本代表MF堂安律はポジションを争った元同僚だが、ともにスペインの「マルカ」紙が選ぶグループリーグのベスト11に選ばれた。

ヤングタレントが集うイングランドの中盤で“効いている”ウェストハムMF

■MFデクラン・ライス(イングランド代表/ウェストハム/23歳)

 MFジュード・ベリンガム、MFフィル・フォーデン、FWブカヨ・サカなどイングランドには向こう10年で主力を担えるヤングタレントが揃う。彼らに比べるとより堅実な選手かもしれないが、中盤で素晴らしく効いている。ラウンド16まで4試合にスタメン、3試合はフル出場を果たしており、ギャレス・サウスゲイト監督の信頼のほどが分かる。セネガル代表戦でも中盤からベリンガムやMFジョーダン・ヘンダーソンが前線に飛び出していける状況を生み出していた。所属チームでは若くしてキャプテンを巻いており、周りの選手たちを前向きにさせることができる選手だ。

■FWラファエル・レオン(ポルトガル代表/ACミラン/23歳)

 グループリーグは3試合続けて途中から投入されて、躍動的なプレーを左サイドから見せている。快速ドリブラーとしてのイメージは強いが、ガーナ代表戦ではMFブルーノ・フェルナンデスの仕掛けに連動して、ラストパスを見事に右足で捉えてゴールに突き刺し、決勝点となった。ノックアウトステージでも勝利に導く活躍ができるか。

■MFオーレリアン・チュアメニ(フランス代表/レアル・マドリード/22歳)

 ラウンド16までの4試合すべてにスタメン。チュニジア代表戦とデンマーク代表戦はフル出場で勝利を支えた。視野の広さと、若手選手とは思えない落ち着いた立ち居振る舞いが目を引く。エレガントなボール捌きで、個性的なアタッカー陣を支えながら、リスクマネジメントもしている。中盤を支えるMFアドリアン・ラビオのほうが前に関わって行くため、直接ゴールに関与することはあまりないが、チームにリズムをもたらす攻守の要になっている。(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)